都道府県や市区町村で大きな差がある子どもの医療費援助

[2019/8/9 00:00]

すべての都道府県が、子供の医療費を援助している

転勤や移住のときに、これから暮らす都道府県や市区町村について、いろいろ調べる方も多いでしょう。

その時に見逃しがちなことの一つが、「子供の医療費援助」です。

子供の医療費は、健康保険によって「小学校就学前」については、自己負担額が「2割」に抑えられています。

しかし、6歳以上になると、大人と同じ「3割負担」になってしまいます。

出典:厚労省

そこで、親の負担を抑えるために、子供の医療費の援助が、全ての都道府県で行なわれているのです。

この援助によって、入院の場合でも、自己負担なしで治療が受けられる場合さえあります。

しかし、医療費援助が有効になる条件や、援助の内容は、共通ではありません。

一番分かりやすい「対象年齢」でも、都道府県によって、「4歳未満」から「18歳の年度末」まで差があります。

例えば「18歳の年度末」ならば、乳幼児から高校卒業まで、医療費がタダもしくは安くなるのですから、大きな家計の助けになります。

この記事では、厚労省のデータを基に、都道府県や市区町村による子供の医療費援助について紹介します。

18歳年度末まで援助がある「福島県」と「鳥取県」

まず、都道府県レベルの「対象年齢」を見てみましょう。

一番多いのは「就学前」、つまり小学校に上がる前までの援助です。

対象年齢が一番低いのは「4歳未満」です。

「通院」では、富山県、石川県、熊本県の3県、「入院」では熊本県の1県です。

逆に、対象年齢が一番高いのは「18歳年度末」です。

「通院」と「入院」の両方で、福島県と鳥取県の2県が援助を行なっています。

なお、下のグラフで「その他」になっているのは新潟県です。

新潟県では、県として統一された制度ではなく、市区町村への交付金としているので、対象年齢の設定なども市区町村に任されているのです。

出典:データを基に編集部が作成

22歳年度末まで医療費援助がある「南富良野町」

都道府県の補助制度に加えて、すべての市区町村でも独自に医療費援助を行なっています。

そのため、市区町村レベルの調査も欠かせません。

市区町村レベルで「対象年齢」を見てみましょう。

一番多いのは「15歳年度末」です。つまり、中学校卒業まで医療費の援助があります。

次に多いのが「18歳年度末」でした。こちらは、高校卒業まで援助があります。

この2つのどちらかが、市区町村による援助の一般的な水準と考えて良いでしょう。

出典:データを基に編集部が作成

対象年齢が一番高いのは、北海道 南富良野町の「22歳年度末」でした。

ストレートに進学していれば、大学卒業まで医療費の援助があることになります。

それに次ぐ「20歳年度末」としているのは、茨城県 境町と奈良県 山添村でした。

このように対象年齢を広げている自治体では、「子育て世代の移住者の勧誘」や「少子化対策」を理由として挙げています。

都道府県レベルにおいても、市区町村レベルにおいても、自治体の方針によって大きな差があることがお分かりいただけたでしょう。

医療費援助のチェックポイント

最後に、「子供の医療費援助」について調べるときの4つのチェックポイントを紹介します。

  • 対象年齢
  • 所得制限の有無
  • 一部自己負担の有無
  • 通院と入院の違い

1つ目は「対象年齢」です。ここまで紹介したように、対象年齢は、できるだけ幅が広い方が好ましいでしょう。

「所得制限」があると、自分の収入が多いときに対象外となる可能性があります。収入が多い家庭ではチェックが必要です。

「一部自己負担の有無」も忘れてはいけません。負担金がある場合は、その割合も調べておきましょう。

最後の「通院と入院の差」は、注意が必要な項目です。

実は、ここまで挙げた「対象年齢」「所得制限」「一部自己負担の有無」について、通院と入院では扱いが異なる自治体が多いのです。

例えば、通院だと自己負担があるが、入院だと自己負担がない自治体もありますし、その逆もあります。必ず、両方の条件を調べておきましょう。

厚労省のサイトでは、市区町村レベルでこれらの情報が一覧表にまとめられています。こちらのPDFファイルを参照してください。

子供がいる家庭で転居や移住を考えているときは、まず、このPDFファイルで、想定している転居先の自治体の医療費援助制度を確認しましょう。

そして、その自治体の「子育て」や「医療」のページを見ることをお勧めします。その自治体が、少子化や子育ての援助に、どれぐらい力を入れているかが、とてもよく分かります。

できれば、インターネットの検索を利用して、その自治体に、どんな病院があって、どれぐらいの規模なのかも調べておけば完璧でしょう。

[シニアガイド編集部]