証券業協会のルールを無視して、高齢者に投資信託を売りつけた「ゆうちょ銀行」
社内規定に違反した契約が大量に発覚
日本郵便とゆうちょ銀行は、「投資信託」の販売に対する社内調査の結果を公開しました。
その結果、高齢者への不適切な販売など、社内規則に違反した販売が1万9千件に上ることが判明しました。
特に、ゆうちょ銀行では、投資信託を取り扱っている店舗のうち、91%で違反が発生していました。
75歳以上との契約は事前承認が必要
今回、明らかになった社内規定違反の多くは、高齢者に対する不適切な販売です。
高齢者に投資信託を販売する際は、日本証券業協会が定めた「高齢顧客への勧誘による販売に対するガイドライン」を守る必要があります。
このガイドラインでは、「75歳以上の顧客には慎重な対応を、80歳以上の顧客には、さらに慎重な勧誘による販売」を求めています。
このガイドラインに沿って、ゆうちょ銀行および日本郵便では、『高齢者に対する契約においては、「勧誘前」に管理者の承認を得ることが必要』という社内規定を定めています。
しかし、今回の調査では、「勧誘前」の事前承認を怠っていた顧客が1万5千人もいました。
さらに、ゆうちょ銀行の店舗のうち91%が社内規定に違反していました。
事実上、「勧誘前」の事前承認は、ほとんどの店舗で行なわれていなかったのです。
これでは、契約本数を優先して、組織的に社内規定を無視していたと取られても仕方が無いでしょう。
つまり、ゆうちょ銀行と日本郵便は、証券業協会が定めた最低限のルールさえ守れない会社なのです。
1万5千人に不適切な販売
勧誘前の事前承認を怠っていた顧客は、1万5千人に上ります。
これらの顧客については、10月末までに「投資商品に対する認識」があるかどうかを調査し、疑義が生じた場合は、内部管理責任者による適切な対応をするとしています。
しかし、「適切な対応」が何を意味するのかは明らかではありません。
例えば、契約したことすら忘れているような認知症の顧客がいれば、契約自体を破棄して、きちんと返金されるべきですし、そう明言すべきでしょう。
ゆうちょ銀行の対応を待たずに、こちらから積極的に解約に向けて対応を求めていく必要がありそうです。
家族が契約していた場合の対応
もし、あなたの家族や周囲の人が「75歳以上」の高齢者で、日本郵便またはゆうちょ銀行から、「投資信託」を購入していた場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。
- まず、「郵便局に定期預金などのお金を預けていないか」と確認しましょう
- 「預けている」という場合は、「最近、預金の種類が変わったりしていないか」を確認しましょう。ほとんどの場合、「投資信託」は「もうかると言われた新しい貯金」として認識されています。
- その上で、「テレビでやってたけど、何か問題があって調べているらしいから。今度見せてね」と言って、契約書か証書を確認させてもらいましょう。
この時に、絶対にやってはいけないのは、「なんで投資なんかしたのか」と家族を責めることです。
悪いことをしたのは、社内規定を無視して契約した局員や社員であり、あなたの家族ではありません。
「こっちが悪いんじゃなくて、ゆうちょ銀行の方の問題らしいから」と言って安心させて上げましょう。
そして、見せてもらった契約書が「投資信託」のものであれば、契約自体を無効として、解約を働きかけましょう。
その際に地元のゆうちょ銀行や郵便局では、対応に不安が残ります。また、この問題についての専用の問い合わせ窓口は設置されていません。
現状では、ゆうちょ銀行の「投資信託コールセンター」に直接、連絡をすることをおすすめします。
コールセンターの電話番号と受付時間は、こちらのページの「投資信託・国債に関するお問い合わせ」にあります。
窓口では、「社内規定違反による、高齢者への不適切な販売による解約を希望する」といえば、趣旨が伝わりやすいと思われます。
できれば、ゆうちょ銀行が調査を行なっている10月末までに、手続が終わるように早目に行動してください。調査結果が出てからでは、窓口が混み合う可能性があります。