金融庁の「老後の生活資金2,000万円不足問題」で、すぐに行動した人は22%
50歳以下の千人に聞いた「老後資金」
GMOあおぞらネット銀行が、「ビジネスパーソンの老後資金に関する調査 2019」を公開しています。
2019年7月に行なわれたインターネット調査には、全国の20歳~49歳のビジネスパーソン1,000人が回答しています。
「老後の生活資金2,000万円不足問題」への反応
この記事では、2019年6月に起きた、金融庁による「老後の生活資金2,000万円不足問題」についての調査結果を紹介します。
この問題は、金融庁が「高齢社会における資産形成・管理」の報告書案で、公的年金だけでは、老後資産が2,000万円不足するという試算を示したことが、政治問題となったものです。
一部の報道では、報告書の内容を離れて「老後生活には2,000万円の資金が絶対に必要」という取り上げられ方をされ、公的年金への不信があおられる結果となりました。
8割以上の人がニュースを見ていた
「“老後2,000万円問題”の話題を見聞きしていた」人は、8割を超えました。
自分の老後に影響するニュースだけに、多くの人の関心を集めたようです。
2,000万円貯められる人は33%
「老後の生活資金として2,000万円を貯めることができるか」という質問に、「できると思う」と回答した人は33%でした。
2,000万円を貯める自信がある人は、3人に1人しかいません。
半分以上の人は、老後の生活資金に対する考えが変わった
「老後2,000万円問題」の話題を見聞きした人に限って、「老後の生活資金に対する考えが変わったか」と聞いています。
「考えが変わった」人は54%でした。
「老後2,000万円問題」がきっかけとなって、多くの人が老後の生活を真剣に考えたことが分かります。
何か行動した人は22%
しかし、「老後2,000万円問題」によってなにか行動した人は、22%に留まりました。
老後への考え方が変わったとはいえ、短期間に具体的な行動に移した人は多くありません。
真っ先に考えたのは「収入を増やす手立て」
具体的な行動をした人に、その内容を聞いています。
一番多いのは、「収入を増やす手立てを考えた」で、次が「支出を減らす手立てを考えた」でした。
みんなが、どんな行動を取っているのか、全体を見てみましょう。
- 収入を増やす手立てを考えた 34%
- 支出を減らす手立てを考えた 30%
- 資産を増やす手立てを考えた 25%
- ねんきん定期便を確認した 24%
- 節約を始めた 23%
- 老後の生活資金を試算した 20%
- 資産運用について調べた 19%
- 金融庁の報告書のオリジナルを読んだ 13%
- 資産運用を始めた 13%
- FPなど専門家に相談した 6%
事実を確認することから始めよう
今回の調査結果で意外なのは、「金融庁の報告書のオリジナルを読んだ」人が、とても少ないことです。
ほとんどの人は、テレビや新聞による報道を、そのまま信じており、自分で情報源にあたることをしていません。
今回の報道では、金融庁の資料について、肯定から否定まで幅広い受け止められかたをされ、中にはかなり偏った意見も見受けられました。
こういう状況のときは、一つの報道だけに頼ると、道を誤る危険があります。
行動を起こす前に、もととなった資料を読んだり、「ねんきん定期便を確認する」など、事実関係の確認から始めることをおすすめします。
将来への不安や恐怖感から、いきなり「資産運用を始めた」のでは、それこそ投資会社や金融機関などの思うツボにはまってしまいます。
将来に対する漠然とした不安は、誰しもが持っているものです。
それに対抗するには、一つずつ事実を確認して、未知の部分を減らしていくことが一番の近道なのです。