「ガン」の治療と仕事が両立すると思っている人は4割もいない

[2019/9/30 00:00]

ガンについての世論調査

内閣府が「ガン対策・たばこ対策に関する世論調査」の結果を公開しています。

2019年7月から8月にかけて行なわれた面接調査には、18歳以上の1,647人が回答しています。

この記事では悪性新生物についての表記は「ガン」で統一しています。

7割以上の人は「ガンが怖い」

「ガンについてどのような印象を持っているか」と聞いています。

「怖いと思う」人は7割を超えており、「怖いと思わない」人は2割に留まっています。

やはり、ガンは怖い病気と受け取られていることが分かります。

出典:データを基に編集部が作成

ガンが怖い理由は「死に至る場合がある」から

ガンが怖いと思っている人に、その理由を聞いています。

上位5つは次の通りでした。

  • ガンで死に至る場合がある
  • ガンの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合がある
  • ガンそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合がある
  • ガンの治療費が高額になる場合がある
  • ガンによって仕事を長期間休むか、辞めざるをえない場合がある

ガン検診の経験

レントゲン撮影やマンモグラフィ撮影などの「ガン検診」を受けた経験を聞いています。

「2年以内に受診した」人が半分を超えていますが、「今までガン検診を受けたことはない」と答えた人も3割もいます。

出典:データを基に編集部が作成

ガン検診を受けない理由は「時間がないから」

ガン検診を2年以上受けたことがない人に、その理由を聞いています。

上位3つは、次のとおりでした。

  • 受ける時間がないから
  • 健康状態に自信があり、必要性を感じないから
  • 心配なときはいつでも医療機関を受診できるから

特に男性は「受ける時間がないから」という回答が多くなっています。

ガンであることを家族に話せる人が多い

「自分自身が、ガンと診断されたら、ガンであることを家族などに話せるか」と聞いています。

9割近い人が「話せると思う」と回答しました。

ただし、「話せると思わない」とする人も1割を超えています。

出典:データを基に編集部が作成

治療と仕事が両立すると思っている人は4割もいない

「現在の日本の社会では、ガンの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働きつづけられる環境だと思うか」と聞いています。

「働き続けられない」という人が半分を超えていて、「働き続けられる」という回答は、4割もありませんでした。

性別に見ると、男性は「働き続けられる」、女性は「働き続けられない」とする人が多くなっています。

出典:データを基に編集部が作成

「働きつづけることが難しい」理由は自分の体力と代わりがいないこと

「働きつづけることが難しい」と回答した人に、その理由を聞いています。

上位5つは、次の通りでした。

  • ガンの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから
  • 代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから
  • 職場が休むことを許してくれるかどうかわからないから
  • 休むと収入が減ってしまうから
  • ガンの治療・検査と仕事の両立が精神的に困難だから

性別に見ると、男性は「代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから」が、女性は「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」が多くなっています。

仕事を辞める前には周囲の人と相談を

調査結果を見ると、ガンが怖い病気であるというイメージは強いものの、ガンであることを家族に話せるぐらいには受け止めることができているようです。

つまり、必ず死ぬ病気から、治療できる病気へと意識が変わっていることが感じられます。

ただし、多忙を理由にガン検診に行かない人も多く、いざ治療が始まると仕事との両立は難しいと考えている人が少なくありません。

しかし、「ガン」のように長期の治療が必要な病気の場合、会社員が使える有給休暇制度や、長期休業時に使える傷病手当金制度などが、大きな武器となります。

すぐに「依願退職」してしまう前に、会社の上司や総務部門などに、勤務の体制や利用できる制度について相談しましょう。

また、いったん退職してしまうと、現在と同じような職種に就いたり、同じ収入が得られるとは限らないことも覚えておきましょう。

[シニアガイド編集部]