亡くなった家族の借金の有無や金額を調べる方法
相続をするべきか迷う事態
亡くなった家族の財産を相続する際に、自分の知らない借金があるのではないかと不安になることがあります。
いったん、故人の現金などに手を付けて、相続手続きを始めてしまうと、後で借金があることが分かった場合でも「相続放棄」ができません。
故人の借金も丸ごと相続することになってしまうのです。
それを知っていると、亡くなった人のローンやクレジットカードの利用額の全貌が見えないときに、相続手続きを始めて良いのか迷ってしまうのです。
そういう場合は、相続手続きを始める前に、その人の「信用情報」を調べて、ローンなどの借金の状態を見極めましょう。
この記事では、「信用情報」を管理している団体への連絡方法などを紹介します。
信用情報を管理する3つの団体
ローンやクレジットカード、さらに消費者金融などを借りるときには、その人の「信用情報」がチェックされます。
「信用情報」は、職業や収入、借金の金額や返済状況などが中心です。
日本では、分野別に3つの団体が「信用情報」を集めて管理しています。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)、銀行/信金/農協など
- シー・アイ・シー(CIC)、クレジット/ローンなど
- 日本信用情報機構(JICC)、消費者金融など
それぞれの団体では、一般には「信用情報」を公開していません。
しかし、本人、法定代理人、相続人などが問い合わせした場合に限り、その人の「信用情報」を有料で送ってもらうことができます。
3つの団体に問い合わせをすることで、その人が持つ借金の総額を知ることができるのです。
必要な書類を集めて郵送で申し込む
「信用情報」を見るためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
ここでは、「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」の例を見てみましょう。
KSCに対して、法定相続人が信用情報を請求する場合、次の書類が必要です。
- 登録情報開示申込書(PDFファイルで公開)
- 開示請求者(法定相続人)の本人確認資料
- 開示対象者(被相続人)の死亡を証する資料
- 開示請求者が法定相続人であること(続柄等)を証する資料
- 1,000円分の定額小為替証書
これらの書類を郵送すると、1週間から10日ぐらいで、「信用情報」の書類が返送されてきます。
亡くなった人の戸籍謄本を集める作業と、ほぼ同じ手続きと思えば良いでしょう。
なお、自分で手続きをするのが面倒な場合は、弁護士、司法書士、行政書士などに依頼して有料で代行してもらうこともできます。
相続放棄は3カ月間しかできない
なお、相続放棄には期限があることを覚えておきましょう。
相続を放棄する場合は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所に届け出をする」必要があるのです。
つまり、家族の死を知った時点から、3カ月以内に、その人の財産を相続するか、権利を放棄するかを決めなければなりません。
相続をすると、ローンや借金を抱え込んでしまう可能性を感じたら、すぐに「信用情報」を集める手続きを始めましょう。
「信用情報」にも限界がある
最後に、故人の借金に関連して知っておいた方が良い情報を2つお知らせします。
1つは、「住宅ローンの団信」です。
一般的なローンとは異なり、ほとんどの住宅ローンでは「団体信用生命保険(団信)」がセットになっています。
これは住宅ローンの返済中に、その人が亡くなったときに、団信によって残ったローンを返済するという制度です。
つまり、亡くなった人が住宅ローンを抱えた状態であっても、団信によって返済できることが多いので、相続しても借金を引き継ぐ可能性は低いのです。
もし、故人の住宅ローンがあったときは、「団信」に加入しているかどうかを必ず確認しましょう。
もう1つは「信用情報」の範囲です。
この記事で紹介した「信用情報」で分かる借金は、法律に基づいて正当に行なわれた借金です。
つまり、個人間で行なわれた借金などは含まれません。
いわゆる「闇金(やみきん)」や、SNSを通じた借金などは、「信用情報」からは分からないのです。
亡くなった家族の生活が荒れていて、そういう借金をしている可能性がある場合は、あらかじめ弁護士などの専門家に相談してから相続手続きを始めましょう。