健康保険の被扶養者が「日本国内在住」限定に

[2020/1/24 00:00]

健康保険の対象が「日本国内在住」に限定される

2020年4月から、サラリーマンが加入している健康保険の「被扶養者(ひふようしゃ)」の条件に、日本国内に居住していることという条件が加わります。

これによって、これまで「被扶養者」になっていた海外在住の家族が、被扶養者から外れることになります。

具体的にどんな変化があるのか、また、留学など例外とされている場合には、どのような届け出が必要なのかを紹介しましょう。

「被扶養者」とは誰のことか

最初に、「被扶養者」について説明しましょう。

「協会けんぽ」や「組合健保」など、サラリーマンを対象とした健康保険制度の場合、「扶養」という制度があります。

これは、健康保険に加入している会社員が養っている家族を「扶養者」として、健康保険を使えるようにする制度です。

家族を扶養に入れれば、その家族は国民健康保険に加入する必要がなくなります。

また、扶養の人数が増えても健康保険料は上がりません。

そのため、配偶者や子供だけではなく、退職した親や親族なども被扶養者にすることが普通になっていました。

しかし、ここ数年で「扶養」にできる人の条件が厳しくなり、配偶者や子供などを除くと、本当に生計を支えていることを証明する書類が必要になりました。。

さらに、「日本国内に在住していること」という条件が追加されたわけです。

住民票があるかどうかで判断する

被扶養者が「日本国内に在住している」かどうかは、どうやって判断するのでしょうか。

これは、「住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たす」としています。

つまり、被扶養者とする人が、日本で住民登録をしていれば、それで大丈夫です。

例えば、被扶養者が海外で生活している場合も、日本に住民票があれば、「日本国内に生活の基礎がある」と判断されるので、被扶養者としてかまいません。

ただし、「医療滞在ビザ」や「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で日本に滞在している外国人は、「日本国内に生活の基礎がない」ので、日本国内に住所があっても健康保険の対象からは外れます。

住民登録がない場合の例外

家族が長期の留学をしているときなど、日本国内に住所がなく、住民票がない場合は、どうすればよいのでしょうか。

この場合は、「日本国内に生活の基礎がある」として、「国内居住要件の例外」として扱われます。

具体的には、次の5つの例が挙げられています。

  1. 外国において留学をする学生
  2. 外国に赴任する被保険者に同行する者
  3. 観光、保養またはボランティア活動その他、就労以外の目的での一時的な海外渡航者
  4. 被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、外国に赴任する被保険者に同行する者と同等と認められる者
  5. 上記以外で、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

例外扱いには届け出が必要

自分の家族を、「国内居住要件の例外」であることを認めてもらい、被扶養者とするには届け出が必要です。

これを行なわないと、被扶養者として認定されず、扶養から外れてしまいます。

届け出の方法は、年度ごとに提出する「健康保険被扶養者(異動)届」という書類に、国内居住要件の例外に該当すると記入し、事実確認ができる書類を添付します。

「健康保険被扶養者(異動)届」の記入欄 出典:日本年金機構

添付する書類は、条件によって異なりますが、次のような書類の写しと指定されています。

  • 査証(ビザ)
  • 学生証、在学証明書、入学証明書など
  • 海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書
  • ボランティア派遣期間の証明、ボランティアの参加同意書など
  • 出生や婚姻等を証明する書類など

詳細については、「健康保険被扶養者(異動)届」を提出する会社の窓口の指示に従ってください。

必要な書類は、早めに準備を

健康保険の被扶養者が、日本国内在住を原則となることで、自分の家族が海外に居住している場合は被扶養者から外れます。

例えば、老後を海外で暮らしている両親などは、扶養から外れることになります。

子供の留学など、例外として認められるには手続きが必要です。

早めに必要な書類のコピーを準備しておきましょう。

なお、被扶養者から外れる人が入院中の場合は、4月1日までは被扶養者として扱われます。

必要な場合は、転院などの対策を考えてください。

この記事では、サラリーマンの健康保険(被雇用者保険)を前提にして紹介しましたが、船員保険などでも同様の改正が行なわれます。

該当する場合は、それぞれの健康保険の窓口に問い合わせをしてください。

[シニアガイド編集部]