2018年10月から、健康保険の「扶養者」認定が厳格に
扶養を証明する書類が必要に
日本年金機構が、健康保険の被扶養者認定の基準を厳しくすると発表しています。
サラリーマンを対象とする健康保険制度の場合、収入が少ない家族を「被扶養者(ひふようしゃ)」とすることで、その人が払う保険料を節約することができます。
これまでは、被扶養者の条件に合致していることを申し立てすれば、認定されていました。
しかし、10月1日からは、申し立てのみによる認定は行なわれなくなり、証明書類による認定が必要となります。
「戸籍謄本」や「課税証明書」が必須に
10月1日以降に申請する場合、被扶養者について、次の書類が必要となります。
- 続柄の確認 ー 戸籍謄本または戸籍抄本
- 同居の確認 ー 住民票
- 収入の確認 ー 課税証明書、年金証書、確定申告書など
- 別居時の仕送り確認 ー 預金通帳の写し、現金書留の控え
ご覧の通り、公的な書類が必要となることで、かなり厳格にチェックされることが分かります。
特に、別居している被扶養者への仕送りについては、相手が「16歳未満」または「学生」でないと、送金を証明する書類まで必要になります。
さらに、日本年金機構のQ&Aによれば、備考欄には「年間の仕送り回数」まで書くように指示されています。
定期的に送金している場合以外は、認可されなくなると思った方が良いでしょう。
収入の証明については注意が必要
今回の、手続きの厳格化で特に注意が必要なのは「収入の確認」でしょう。
被扶養者になるためには、年間の収入が「130万円未満」とされています。
健康保険では、遺族年金、障害年金、傷病手当金、失業給付(非課税)などの、所得税では非課税とされているもの、収入として扱われます。
これらの場合、課税証明書ではなく、受け取り金額を証明できる通知書などのコピーが必要となります。
なお、次の場合は、年間収入の上限は「180万円未満」に拡大されます。
- 被扶養者が「60歳以上」
- 被扶養者が「障害厚生年金の受給に相当する障害者」
年金を受け取っている人を被扶養者として届け出るには、年金受給額が確認できる年金証書、直近の改定通知書又は振込通知書のコピーが必要となります。
この機会に、親の年金の金額を確認しておきましょう。
現役時代に収入が多かった親は、収入が180万円を超えている場合もあります。あらかじめ、覚悟しておきましょう。
なお、親の年齢が「75歳以上」で後期高齢者医療制度に加入している場合は、年収にかかわらず、被扶養者とすることはできません。
まず、総務に相談を
今回の、被扶養者届けの取り扱いの厳格化によって、届け出の手間がかなり増えます。
さらに、書類によってはコピー不可で、原本が必須のものもあります。
それぞれの書類について、確認をした上で作業を進めましょう。
まずは、総務部門に「新たに親族を扶養することになったので、必要な手続きをしたい」と相談することから始めましょう。
もう一つ、覚悟しておかなければならないことがあります。
現在、「被扶養者」となっている人も、近い将来に、証明書類を提出する必要が出てくるでしょう。
そうすると、これまでのように、ときどきお金を送っているだけの「遠縁の親族」などを気軽に被扶養者にすることは難しくなります。
そのときに備えて、誰を被扶養者とするのか、改めて考えておきましょう。