新型コロナ対策で「テレワーク」を指示した会社は19%、実行した人は12%
新型コロナウイルスはテレワークに及ぼした影響
国土交通省が、新型コロナウイルスの影響によって、どれぐらいテレワークが実施されたかという調査結果を公開しています。
2020年3月に行なわれた調査には、会社に所属して働いている4,532人が回答しています。
テレワークの指示があった人は「19%」
テレワークの実施について、会社から「指示」があった人は「19.1%」でした。
つまり、会社からテレワークについて指示された人は、全体の2割もいません。
そのうち、「業務命令があった」が「4.6%」、「できるだけ実施するように推奨された」が「14.5%」です。
一方、「会社から指示がなかった」は70%を超えました。
テレワークを実行した人は「12%」
過去1カ月程度の期間において、テレワークを行なった人は、回答者の「12.6%」でした。
そのうち、今回初めてテレワークを行なった人は「5.2%」です。
テレワークをしている人は、まだ少数ですが、新型コロナウイルス対策によって、それなりに増えたことが分かります。
一方で、会社からテレワークについて指示があっても、テレワークを実行しなかった人もいたことが分かります。
社内でないと見えない資料やデータ
実際にテレワークを行なった人に、テレワーク中の問題点を聞いています。
一番多い回答は「特に問題はなかった」でした。
しかし、ほぼ同じ割合で「会社でないと閲覧/参照できない資料やデータがあった」が挙がっています。
書類が紙であったり、イントラネットへのアクセスが社内からしかできないなどの理由で、テレワークで行える作業が制約されてしまうのです。
また、「上司や同僚、取引先との連絡に苦労」したり、「会社のテレワーク制度が明確ではない」などの問題点も指摘されています。
会社のテレワーク制度が、しっかりしていないと、どこまでやるべきかの判断に迷ったり、自分の評価や給与に不安をいだいたりすることになりがちです。
普段からやっていないと、いざというときにできない
今回、新型コロナウイルス対策として、政府からテレワークを活用するように呼びかけが行なわれていました。
そして、そのことは、回答者の9割が認識しています。
しかし、政府にテレワークを活用するようにと言われても、社員に指示をした会社は、全体の2割もありません。
さらに、実際にテレワークをした社員は、全体の1割ちょっとに留まっています。
業務の内容などにもよりますが、多くの会社がテレワークに積極的ではないことが分かります。
国交省では、緊急時のテレワークの実施にあたって、次の2点が重要だとしています。
- 平時からの準備
- 日頃からのテレワーク実施
さらに「平時からの準備」の具体的な内容として、次の2点を挙げています。
- テレワークに関する社内規程等の制度整備
- ペーパーレス化やクラウド化による、仕事に必要な資料へのアクセス手段の確保
今回の調査結果を見ても、これまで一度も行なったことにないテレワークを、新たに始めた人は、ごく僅かでした。
日頃から、社内の制度を整備し、実際にテレワークをする機会を作っておかないと、いざというときにテレワークをしようと思ってもできません。
現在の新型コロナウイルスの感染状況を見る限り、テレワークが「推奨」から「義務」に変わる可能性もゼロではありません。
いまからでも、社内の環境整備を進めるべきでしょう。