コロナの影響で、離職や休業したときに家賃を支援してくれる「住居確保給付金」
職は失っても住まいは確保したい
今回、紹介する「住居確保給付金」は、離職や休業したときに、住むところを失くさないように、家賃を支援してくれる制度です。
この制度は以前からあるものですが、2020年4月30日から、一部の制限が撤廃され、新型コロナウイルスによる離職や休業にも使えるようになりました。
政府による経済対策は、一律に10万円を支給する「特別定額給付金」のように新しく作られたものもありますが、以前からある制度の対象を広げて新型コロナウイルスという状況に対応したものもあります。
「住居確保給付金」もその一例です。
賃貸住宅の家賃を最大9カ月補助
「住居確保給付金」の特徴を紹介しましょう。
- 賃貸住宅に住んでいるか、住もうとしている
- 申請は、もよりの市区町村の窓口で行なう
- 収入や預金額に制限がある
- 給付される家賃に上限がある
- 給付期間は基本は3カ月。状況に応じて3カ月単位で9カ月まで延長できる
これらの条件で、一番厳しいのが「収入や預金額に制限がある」ことです。
具体的な数字を示して紹介しましょう。
なお、ここでは東京都千代田区を例にしていますが、地域によって金額が異なります。
実際に申請する場合は、必ず自分の住んでいる自治体に確認をしてください。
2人世帯は「貯金が78万円以下」が条件
最初に「預貯金」の条件を見てみましょう。
具体的には、「申請者と生計を一とする同居親族の預貯金の合計額が次の金額以下であること」と規定されています。
つまり、家族全員の貯金の総額に制限があるのです。
- 【単身世帯】504,000円
- 【2人世帯】780,000円
- 【3人以上世帯】1,000,000円
これを証明するために、申請時には同居人を含めた家族の、すべての口座について「預貯金通帳または残高証明書等」が必要となります。
2人世帯は「収入が約20万円以下」が条件
次に収入の条件を紹介しましょう。
「住居確保給付金」では、世帯の1カ月の収入が、一定の金額よりも少ないことが条件となります。
その基準は「基準額」と「家賃の月額」を足した金額です。
ただし、実際の「家賃の月額」が「家賃の上限」を超えている場合は、「家賃の上限」で計算します。
例えば、単身世帯で家賃が9万円の部屋に住んでいても、収入を計算するときは「家賃の上限」である「69,800円」で計算します。
具体的な数字を見てみましょう。前の数字が「基準額」、後ろの数字が「家賃の上限」です。
- 【単身世帯】84,000円+69,800円=153,800円
- 【2人世帯】130,000円+75,000円=205,000円
- 【3人世帯】172,000円+81,000円=253,000円
- 【4人世帯】214,000円+86,000円=300,000円
このように、単身世帯で収入が「153,800円」を超えていると、「住宅確保給付金」はもらえません。
注意が必要なのは、この金額が世帯主の収入ではなく、「生計を一とする同居親族の収入の合計」であることです。
つまり、2人以上の世帯では、世帯全員の収入の証明書が必要となります。
家賃が全部給付されるわけではない
給付される家賃は、家賃の全額ではありません。
さきほど見たように給付される家賃には「上限」が決まっています。
また、必ず「家賃の上限」が給付されるわけでもありません。
収入に応じて、給付される金額が調整されます。
具体的には、次の式で計算します。
- 家賃の上限額-(世帯の収入額-基準額)
例えば、「単身世帯」で、収入が10万円だったとして計算してみましょう。
単身世帯なので、家賃の上限額が69,800円、基準額が84,000円ですから、次のようになります。
- 69,800円ー(100,000円-84,000円)=53,800円
この場合の給付額は「53,800円」です。
もちろん、実際の家賃が、これを下回る場合は、家賃の金額までしか給付されません。
例えば、家賃が5万円だった場合は、給付額も5万円になります。
職を失っても住まいは確保したい
最初に紹介したように、「住居確保給付金」は、職を失った人が、住居を失わないように給付される制度です。
返済の必要がない「給付」が、それなりの金額で、最低でも3カ月間給付されるため、世帯の預金や収入についての制限が厳しくなっています。
それでも、急に職を失ったときに、とりあえず住むところが確保できるのはありがたいことです。
まず、自分を含めた家族の収入と預金額を確認してみましょう。
そして、もよりの役所のホームページで「住居確保給付金」の内容と窓口を確認し、予約を取った上で相談に行きましょう。
一部の自治体では郵送での受け付けが始まっていますが、提出書類が多いことと、ほかの制度の利用も相談できるので、窓口に足を運ぶことをお勧めします。