消費者庁が「新型コロナウイルスの予防効果」を訴える38製品を警告。通算3度目
消費者庁が3度目の警告
消費者庁が、「新型コロナウイルスの予防効果」があるとする製品について警告を発しています。
消費者庁による新型コロナウイルス関係の表示に関する警告は、これで3度目です。
繰り返し警告を行なっても、次から次へと根拠のない表示をする製品が登場し続けていることが分かります。
今回は、35事業者の38製品に対して表示の改善要請が行なわれました。
これらの製品は、いずれも「新型コロナウイルスに対する予防効果がある」という趣旨の表示をしていました。
現時点では、有効であることを証明できない
今回、消費者庁が警告の対象としている製品は、次の2つの分野です。
- 健康食品 31製品
- 除菌/抗菌スプレー(アミノ酸、光触媒) 7製品
それぞれ、どのような行き過ぎた表示なのかは後にゆずるとして、どうして「新型コロナウイルス」への有効性を訴えることが警告へとつながるのでしょうか。
現時点では、新型コロナウイルスの全貌は明らかにはなっていません。
そのため、民間の施設では、有効性を確認する試験もできません。
つまり、その製品が新型コロナウイルスに有効であることを、事業者や民間の機関が証明することはできないのです。
したがって、現時点で、新型コロナウイルスへの有効性を訴えている表示には、客観性も合理性もありません。
それらは、すべて嘘か願望であって、事実ではありません。
これらの表示は「景品表示法」(優良誤認表示)や「健康増進法」(食品の虚偽、誇大表示)の規定に違反している可能性が高いのです。
「コロナウイルスを攻撃」と訴える「モズク」
では、具体的には、どんな表示が警告の対象となっているのでしょうか。
これらの製品は、次のような表示で、新型コロナウイルスへの有効性を訴えていました。
健康食品(カプセル、錠剤、粉末等)
典型的な例をいくつか紹介しましょう。
赤い字の部分は、健康食品の原料や製品名です。
健康食品の定番である「ビタミン」や「フコイダン」に加え、「みかん」や「モズク」などの一般的な食品までが、「新型コロナウイルス」への効果を訴えています。
「モズク」に至っては「モズクの力、新型コロナ肺炎感染を予防、コロナウイルスを攻撃」と言い切っています。
- 新型コロナウイルス感染防止対策として、高濃度でビタミンCを摂取する事が非常に効果的
- ワクチンも治療法もまだない中、海藻類のフコイダンが新型コロナウイルス肺炎の重症化を防ぐ
- 茶カテキンでコロナ予防を!!、茶カテキンの抗ウイルス、抗菌、抗酸化力、新型コロナにも有効
- 新型コロナ対策、「コーヒーポリフェノール・クロロゲン酸」が、免疫細胞が集まっている腸内フローラを改善、重症化を防ぐ
- モズクの力、新型コロナ肺炎感染を予防、コロナウイルスを攻撃
- 新型コロナウイルスの予防方法として免疫をあげるために「みかん」が効果的
- 発酵飲料(日本酒)、発酵食品(酒粕)をとって新コロナウイルスなどに、負けない免疫力をつけよう
- 新型コロナ対策に、乳酸菌、ビフィズス菌
除菌/抗菌スプレー(アミノ酸、光触媒等)【8事業者7商品】
除菌/抗菌スプレーは、アミノ酸、光触媒を有効成分としています。
そして、「新型コロナウイルスを瞬間破壊!」とか「新型コロナウイルスの不活性化に成功!」と革命的な効果を謳っています。
また、そこまで言い切るのはさすがにマズいのではないかと「全てのコロナウイルス近縁のウイルスに対して、不活性化が期待できることが類推できます」と、表現を抑えてグレーゾーンを狙った製品もありますが、やっぱり改善要請の対象となっています。
- 緊急入荷!! 新型コロナウイルスの不活性化に成功!
- 新型コロナウイルスを瞬間破壊!
- 光触媒と銀イオンは、ウイルスの種類や型によって効果が変わることはありませんので、未知の新型ウイルスからもご家族を守ってくれます
- 全てのコロナウイルス近縁のウイルスに対して、不活性化が期待できることが類推できます
- 新型コロナウイルス、ノロウイルス、O-157、インフルエンザの予防や消臭に有効です
- 新型コロナウイルス・花粉症対策! マスクに吹きかけて抗菌&除菌
その製品を買ったからと言って解決できるものではない
消費者庁による過去2回の警告で指摘された「87製品」については、すべて表示が修正されました。
しかし、まだWebや店頭では、「新型コロナウイルスへの効果」を訴える製品が目に付きます。
新型コロナウイルスは、まだ治療薬やワクチンがなく、不安の対象となっています。
しかし、その不安は健康食品や除菌/抗菌スプレーを買っただけで解消できるほど、簡単なものではありません。
「新型コロナウイルス」の存在を意識しながら、「手洗い」や「マスク」などの感染を予防する行為を確実に行なうことでしか対抗できないものなのです。
「効きそう」というイメージだけで、効果が不明な商品に手を出すのは止めましょう。