東京都民の99%は、まだ新型コロナウイルスの抗体を持っていない

[2020/6/17 00:00]

抗体を調べることで、感染した経験が分かる

厚生労働省が、「新型コロナウイルスの抗体保有調査」の結果を公開しています。

この調査は、その地域の住民が、どれぐらいの割合で新型コロナウイルスに感染した経験があるかを推定するためのものです。

新型コロナウイルスに感染した経験があると、血液中に「抗体」が作られます。

今回の調査では、東京都で、新型コロナウイルスの抗体を持っている人は「0.1%」でした。

つまり、東京都民の99%以上は、新型コロナウイルスに感染した経験がないのです。

3つの地域で3千人ずつ調査

調査の方法をもう少しくわしく見ていきましょう。

  • 調査時期:6月1日~7日
  • 調査対象地域:東京都、大阪府、宮城県
  • 調査対象者:各地域ごとに約3千人
  • 調査方法:アボット、ロシュ、モコバイオの3社の測定機器を使用

調査対象地域は、新型コロナウイルスの感染者数が多い「東京都」「大阪府」と、比較的少ない「宮城県」の3カ所です。

調査対象者から採血した血液を、3社の測定機器で計測しています。

新型コロナウイルスの抗体調査方法は、まだ標準がないので、欧米などで実績がある3社の結果を比べているのです。

この調査ではアボットとロシュが中心で、モコバイオは参考値とされています。

抗体を持っている人は1%未満

東京都の結果を見てみましょう。

調査対象者は1,971人でした。

このうち、「抗体あり」と出た人は、アボットが4人、ロシュが6人でした。

それぞれ全体との比率で示すと、アボットが0.2%、ロシュが0.3%になります。

アボットとロシュの両方で「抗体あり」と出た、つまり、かなり高い確率で新型コロナウイルスに感染した経験がある人は2人でした。全体に対する割合は「0.1%」です。

参考値とされるモコバイオで「抗体あり」と出た人は21人でした。全体の1.07%にあたります。

3社とも、抗体のある人は1%程度であることが分かりました。

「東京都民の99%は、まだ新型コロナウイルスに感染した経験がない」のです。

大阪府と、宮城県も、ほぼ同じ結果でした。

抗体を持っている人が少ないことの意味

「新型コロナウイルスの抗体を持っている人が少ない」という事実は、何を物語っているのでしょうか。

それは、「ほとんどの人は、これからも新型コロナウイルスに感染する可能性がある」ということです。

新型コロナウイルスは、まだ未知の部分が多く、抗体を持っているからと言って「新型コロナウイルスに感染する可能性がない」とは言えません。

しかし、一般的に言えば、その病気の抗体を持っていれば、感染する可能性は低くなります。

新型コロナウイルスのような感染症の場合、その地域の人口の6割程度が免疫を持っていれば、感染の拡大が収まって、流行が終息に向かうと言われます。

つまり、半分以上の人が感染して抗体を持っていれば、それで流行が終わるのです。これを「集団免疫」と言います。

しかし、今回の調査結果では、新型コロナウイルスの抗体を持っている人は、1%しかいませんでした。

条件が揃えば、新型コロナウイルスの感染の拡大が続く可能性が高いのです。

例えば、感染者との接触が増えれば、いつでも新型コロナウイルスの流行が再燃する可能性があります。

ふたたび感染が拡大して、「第二波」「第三波」と言われる状態になる可能性があるということです。

引き続き感染予防に注意を

「緊急事態宣言」が解除されたことを受けて、学校や会社を始め、社会の活動が活発となってきています。

飲食店などの営業自粛も、ほぼ解除され、人が集まりやすい状況が戻ってきています。

しかし、今回の調査結果が教えてくれたように、新型コロナウイルスの流行は終わったわけではありません。

新型コロナウイルスへの感染を予防するために、「マスクの着用」「手洗いの励行」「3密を避ける」という基本的な生活態度を維持してください。

[シニアガイド編集部]