テレワークで働く人の半分以上は、長時間労働や休日労働を申告していない
千人のテレワーク体験者へのアンケート
労働組合の全国組織である日本労働組合総連合会(連合)が、「テレワークに関する調査 2020」の結果を公開しています。
2020年6月に行なわれたインターネット調査には、4月以降にテレワークを行なった全国の18歳~65歳の労働者1,000人が回答しています。
この記事では、テレワーク中の労働管理に絞って紹介します。
テレワークでも、職場と同じぐらい働いている
まず、「テレワークで1日に働いた時間」を聞いています。
「6~7時間程度」と「8~9時間程度」という回答が多く、この2つでほぼ7割を占めます。
テレワーク中でも、出社したときの労働時間と同じぐらい働いている人が多いのです。
労働時間を管理していない会社もある
「テレワーク時の労働時間の管理方法」を聞いています。
一番多いのは、「ネットワーク上の出退勤管理システムでの打刻」でした。
「メール等による管理者への報告」や「パソコン等の使用時間(ログインとログアウト)の記録」が続きます。
ただし、従業員数が99人以下の職場では、「時間管理をしていない」という回答も多く、会社の規模によって差があることが分かります。
4割の人は時間外労働や休日労働を経験している
「残業代支払いの対象となる時間外や休日労働の有無」を聞いています。
程度の差はありますが、「あった」という回答が約4割ありました。
時間外労働などは申告しない人が多い
時間外労働や休日労働があった人に、それを会社に申告したかを聞いています。
「申告しないことがあった」人は6割を超えました。
また、「申告したが会社から認められなかった」という人も5割以上います。
テレワークでは、時間外労働や休日労働が認められにくい環境であることが分かります。
残業などが申告しにくい雰囲気がある
では、どのような理由から申告しなかったのでしょうか。
「申告しなかった理由」で多かったのは、「申告しづらい雰囲気だから」と「時間管理がされていないから」でした。
たぶん、テレワークで残業代などを申告すると、「わざとダラダラ仕事をしていたのでないか」とか「本当はそんなに長時間働いていないのではないか」と見られることを恐れているのでしょう。
意外と多い時間外労働の体験者
時間外労働などは、どれぐらいの割合で行なわれているのでしょうか。
例えば「勤務時間外に仕事に関する連絡をとったことがある」人は5割以上います。
また、「休憩時間がとれない」が5割、「深夜労働を経験」が3割いるなど、テレワークで労働時間を管理することの難しさが分かります。
8割以上の人がテレワークの継続を希望している
ここまで、労働管理や労働時間を中心にテレワークの実情を見てきました。
では、労働者はテレワークに否定的なのでしょうか。
実は、「テレワークの継続を希望する」人は、8割を超えます。
実際にテレワークを行なってみて、自分に合った働き方だと感じた人が多いのです。
最大のメリットは「通勤がない」
では、回答者は、テレワークのどこにメリットを感じているのでしょうか。
一番多いのは、「通勤がないため、時間を有効に利用できる」でした。
特に、今後もテレワークを続けたいと希望している人は、これをメリットとして挙げています。
それ以外では、次の項目が挙がっています。
- 自由な服装で仕事をすることができる
- 自分の好きな時間に仕事をすることができる
- 好きな場所で仕事ができる
- 業務に集中できる
課題はあっても諦めるのはもったいない
このアンケートで明らかになったように、テレワークの現状に課題があることは間違いありません。
しかし、テレワークの体験者は大きなメリットを感じており、今後も継続することを希望しているのです。
せっかく体験できた新しい選択肢なのですから、課題があるならそれを洗い出して、少しでも働きやすい体制に変わることを求めていくべきでしょう。