テレワークの実施率は全国で35%、東京23区では55%
国による1万人規模の調査
新型コロナ対策として普及が進んだ「テレワーク」について、国による調査結果が出始めました。
ここでは、内閣府が行なった調査から、テレワークに関するデータを紹介します。
このインターネット調査は2020年の5月25日から6月5日にかけて行なわれ、全国の15歳以上の男女10,128人が回答しています。
テレワークを実行した人は3人に1人
全国でテレワークを実施した人は「34.6%」でした。
だいたい3人に1人が、テレワークを行なったことになります。
都会ほどテレワークをする人の割合が増える傾向にあり、東京23区に限ると「55.5%」と半分を超えます。
教育産業で実施率が高い
テレワークには向いている業種と向いていない業種があります。
テレワークの実施率が、もっとも高い業種は「教育、学習支援」でした。
以下、「金融、保険、不動産業」「卸売業」などが続きます。
逆にテレワークの実施率が低かったのは「農林漁業」「公務員」「医療、福祉、保育関係」など、現場で働くことが必要な職種でした。
社員は在宅、派遣は出社
テレワークの実施率は雇用形態によっても変わります。
「正規雇用」つまり社員の実施率は42.2%でした。
一方、「非正規雇用」つまり契約社員、派遣社員などは18.0%に留まっています。
極端な言い方をすれば「社員は在宅、派遣は出社」というわけです。
紙の書類とハンコが課題
「テレワークの利用拡大のために必要なもの」という質問では、次のような課題が挙がっています。
- 社内の打合せや意思決定の仕方の改善
- 社内のやりとりを電子化、ペーパーレス化
- 社内システムへのアクセスの改善
つまり、すでに社内で確立されている「紙の書類とハンコを中心にした、稟議や決済のシステム」が、テレワークの課題となっています。
気軽な相談がしにくいのが欠点
「テレワークで不便な点」という質問では、次の2つの回答が多くなっています。
- 社内での気軽な相談、報告が困難
- 取引先とのやりとりが困難(機器、環境の違いなど)
社内での仕事以外のコミュニケーションが取りにくいことや、社外とのやりとりの準備不足が、テレワークの欠点のようです。
テレワークをすると価値観が変わる
「今後、どの程度の頻度でテレワークを利用してみたいか」という質問に、「利用したい」と答えた人は39.9%でした。
つまり、4割の人は、テレワークを続けても良いと思っています。
いろいろな課題はあるにしても、やってみたら意外となんとかなるので続けたいというところでしょうか。
また、テレワークの経験者は、今後の生活において「仕事と生活のどちらを重視するか」という質問で、「生活を重視する」ように変わった人が多いことが分かりました。
通勤を止めて、自宅で長時間過ごすことが、自分の生活を見つめなおすきっかけとなったのでしょう。
新型コロナ対策として仕方なく導入された「テレワーク」が、多くの人の価値観を変え、今後の生活にも影響を与えたのです。
新型コロナ以前には予想されていなかった、意外な結果と言えるでしょう。