「会社員でも持続化給付金が受け取れる」は詐欺です。自分も罪に問われます

[2020/7/13 00:00]

国民生活センターが警告

国民生活センターが「受給資格がない人に『持続化給付金』の不正受給を持ちかける詐欺」について警告を発しています。

最初に、「持続化給付金」という制度について説明しましょう。

「持続化給付金」は、2020年の5月1日に受付が始まった国の制度です。

この給付金は、新型コロナウイルスの影響で収入が減った中小企業や個人事業主を対象にしています。

簡単に言うと、今年の売上が昨年の半分以下になっていたら、減った分を補ってくれます。

金額は、法人であれば200万円、個人事業主であれば100万円が上限となります。

必要な書類が揃っていれば、申請はオンラインで行えます。

事業者を対象にした給付金ですから、会社から給与をもらって生活しているサラリーマン(給与生活者)は対象になりません。

実例:友人から「サラリーマンでも持続化給付金が受け取れる」と誘われた

実際に、どのような手口なのか、国民生活センターに寄せられた相談から見てみましょう。


 学生時代の友人から無料通話アプリにメッセージが届いた。

 特定の会社を通じて持続化給付金を申請すると、サラリーマンでも無職でも100万円の給付金が受け取れるという。その会社が前年度の確定申告書類を作り、申請するようだ。

 その会社の名前を聞いたところ「名前はないが、税理士がついているので心配ない」とのことだが不審だ。

 「給付金を受け取った場合、その6割を会社と税理士に支払うことになる」と言われた。

 私は断ったが、友人はこの会社を通じて給付金を受取りたい人を探しているので、紹介料があるのかもしれない。怪しいので情報提供する。(30代女性)

この話のどこがおかしいのでしょうか。

まず、「サラリーマン」は、持続化給付金の対象になりません。

そして、個人事業主としての業務の実態がないのに、確定申告書を作る時点で犯罪です。

さらに、受け取った給付金の6割を手数料として取られるのは、あまりに高額です。

通常の取引ではありえない割合の手数料ですから、正当な行為ではないことが予想されます。

詐欺の共犯として罪に問われる可能性がある

国民生活センターでは、消費者に対して、次のように警告しています。


持続化給付金は事業者(個人事業者も含む)に対して支払われます。

事業を行なっておらず受給資格がないサラリーマンや学生、無職の人が、自身を事業者と偽って申請をすることは犯罪行為(詐欺罪)にあたると考えられます。

誘いに乗った消費者自身も罪に問われる可能性が高いです。

「サラリーマンでも無職でも持続化給付金が受け取れる」「自営していることにして申請すれば持続化給付金がもらえる」などといった、受給資格がない人に持続化給付金の不正受給を持ちかける非常に悪質な誘いには絶対に乗らないでください。

後になって、「自分は名前や銀行口座を貸しただけで、犯罪の意図はなかった」と言っても、実際にあなたの名義で給付金を受け取っている以上、それは通りません。

ちょっとした副業のつもりで誘いに乗ってしまうと、最悪の場合、自分の本業まで影響しかねません。

違法な行為であることを認識して、甘い誘いは断ってください。

[シニアガイド編集部]