人工透析をしている人は、新型コロナの死亡率が4倍も高い

[2020/7/21 00:00]

透析中に感染した人は125人

慢性腎臓病が原因で人工透析を受けている人のうち、新型コロナウイルスに感染した人は「125人」、死亡した人は「22人」であることが分かりました。

この数字は、日本透析医会、日本透析医学会、日本腎臓学会の新型コロナウイルス感染対策合同委員会によって公開されました。

患者数などの数字は、2020年7月17日時点のものです。

一般の人より4倍も高い死亡率

新型コロナウイルスに感染した透析患者のうち、死亡した人の割合は「17.6%」でした。

新型コロナウイルスの感染者全体の死亡率は、7月19日現在で約4%です。

それに比べると、人工透析を受けている人の死亡率は4倍以上も高いことが分かります。

新型コロナウイルスの治療後に退院した人は「40.8%」でした。

まだ、退院できないでいる人が少なくありません。

出典:合同委員会のデータをもとに編集部が作成

「50代」から「70代」が危ない

感染した人を年齢別に見ると、「50代」から増え始め、「70代」がピークとなっています。

死亡した人も「50代」から出始め、「70代」がピークとなっています。

新型コロナウイルスは、高齢者ほど重症となる危険性が高いと言われますが、透析患者の場合も、その傾向があることが分かります。

出典:合同委員会のデータをもとに編集部が作成

主な症状は「発熱」と「せき」

新型コロナウイルスの感染者は、どんな症状が出ているのでしょうか。

一番多い症状は「発熱」でした。

「せき」も半分近くの人が自覚しています。

出典:合同委員会のデータをもとに編集部が作成

4割の人が「酸素投与」が必要になった

新型コロナウイルスは、重症化すると肺炎を起こすため、「酸素投与」(酸素吸入)などの治療が行なわれます。

「酸素投与」を受けた人は「39.2%」でした。

感染した人の約4割は、症状が重症化して、酸素投与が必要になったことが分かります。

さらに、人工呼吸器などの「呼吸機器」や、人工肺の「ECMO(エクモ)」が必要な重い症状に至った人もいます。

出典:合同委員会のデータをもとに編集部が作成

透析中の家族のために厳重な対策をしよう

新型コロナウイルスは、流行の当初から「糖尿病、心不全、透析などの基礎疾患がある人」は重症化しやすく、リスクが高いとされてきました。

それを受けて、人工透析を行なっている病院は、厳重な新型コロナウイルス対策を行なっています。
病院内での3密を避けることや消毒から始まり、通院用のバスでも同時に乗る人の数を制限することは日常的に行なわれています。

特に、重症で入院して透析を受けている場合は、患者と家族との面会を制限して、1カ月以上も面会できないことも珍しくありません。

そのような厳しい対策を取っていても、全国で100人以上の透析患者が、新型コロナウイルスに感染しています。

また、透析患者の場合、一般の人に比べて4倍も死亡率が高いことが分かりました。

自分や家族が人工透析を受けている場合は、万が一新型コロナウイルスに感染すると、大きなリスクがあることを認識してください。

もし、自分が感染し、それを透析中の家族に広めてしまうと、通常よりもずっと大きい危険が待っています。

「手洗いやマスク」「3密を避ける」など、基本的な新型コロナウイルス対策を実行して、自分と家族の身を守ってください。

[シニアガイド編集部]