住宅ローンの「団信」は、年末調整の対象になりません

[2020/11/8 00:00]

11月は年末調整の季節

サラリーマンは、そろそろ年末調整の作業に取り掛かる時期です。

生命保険や地震保険に入っている人は、年末調整のときに「給与所得者の保険料控除申告書」とともに、保険会社から送られてきた「払込証明書」を提出します。

「払込証明書」は、保険契約ごとに送られてきますから、家族の分が抜けたりしないように気をつける必要があります。

このときに、「あれ、住宅ローンに付いている『団体信用生命保険(団信)』の分が無い」と思ったことはありませんか。

実は「団信」は年末調整の対象ではありません。

そのために「払込証明書」が送られてこないのです。

どうして、「団信」は年末調整の対象ではないのでしょう。

この記事では、その理由を紹介します。

年末調整は「所得税」を決めるために行なう

まず、年末調整についておさらいしましょう。

年末調整は、その人の1年の「所得」を計算して、所得税の税額を決めることを目的としています。

「所得」の計算の一部として、生命保険に支払った保険料があると、その分、所得税を安くする仕組みがあります。これを「生命保険料控除」と言います。

年末調整のときに、保険会社から送られてきた「払込証明書」を提出するのは、その人が支払った保険料の金額を確定するためです。

団信は「生命保険料控除」の対象ではない

年末調整のときに「生命保険料控除」の対象となる生命保険には、条件があります。

それは、万一のときに保険金を受取る人が、「本人」「配偶者」「その他の親族」でなければならない、というものです。

これ以外の人や、会社などの組織が受け取る生命保険は、「生命保険料控除」の対象になりません。
実は、団信の保険金を受取る人は、本人や家族ではありません。

団信は、住宅ローンの契約者に万一のことがあったときに、住宅ローンの残金を払ってくれる仕組みです。

このときに、残された家族に、「これは住宅ローンの残金の分ですからお使いください」と渡してくれるわけではありません。

団信を契約している生命保険会社は、団信を運営している機構に、直接、保険金を支払います。

つまり、保険金の受取人が自分や家族ではないので、団信は生命保険料控除の対象ではありません。
そのため、年末調整のときに「払込証明書」を送ってこないのです。

団信の払込証明書が届かないと不安に感じる必要はない

以上のような理由で、年末調整のときに「団信」の「払込証明書」は必要ありません。

「まだ、団信の払込証明書が届いていないので、年末調整の書類が提出できない」とか「団信の払込証明書の分が計算に入っていないので、損をしているのではないか」と悩む必要はありません。

特に、住宅ローンを組んだばかりで、団信になじみがないと不安に感じるかもしれませんが、どうぞご安心ください。

[シニアガイド編集部]