居酒屋の倒産が過去最多に。年末に向けてさらに増加の恐れ
すでに過去最高で、さらに増加の恐れ
企業情報サービスの帝国データバンクが、居酒屋の倒産が過去最多を更新したと発表しました。
集計の対象となっているのは、「酒場」または「ビヤホール」で、1,000万円以上の負債を抱えて、法的整理を行なった事業者です。
2020年1月から10月の倒産件数は「164件」で、これまで最多だった昨年の「161件」を超えました。
帝国データバンクでは、「新型コロナウイルスの感染拡大により、忘年会や新年会の需要がなくなる恐れがあり、倒産ペースが加速する可能性がある」としています。
東京を始め、大都市圏で倒産が多い
倒産した居酒屋の件数を都道府県別に見てみましょう。
一番多かったのは「東京都」で30件でした。
そして、「大阪府」の26件、「愛知県」の11件、「兵庫県」の10件と大都市圏が続きます。
小規模な倒産が8割を占める
倒産した居酒屋の負債額を見てみましょう。
負債額が「1,000万円~5,000万円」の事業者が、全体の80.5%を占めています。
つまり、小さい負債で倒産してしまう、小規模な事業者が多いことが分かります。
また、法的整理の種類では、「破産」が155件と、全体の9割を超えています。
再起を目指す「民事再生法」の利用は、わずかに7件しかなく、ほとんどの居酒屋が事業を再開することなく閉店したと思われます。
大手チェーンでも閉店が続く
今回の調査の対象となっているのは、小規模とはいえ、ある程度の事業規模があり、法的整理をする必要がある居酒屋でした。
しかし、東京の状況を見ると、さらに小規模の個人営業の居酒屋が、ひっそりと閉店している例が少なくありません。
一方で、大手飲食チェーンのワタミでは、居酒屋業態の店舗を91店舗閉店し、焼肉店などの業態に転換することを発表しています。
つまり、居酒屋は、規模が大きくても小さくても厳しい経営環境に置かれているのです。
新型コロナウイルスの流行によって、居酒屋は営業の自粛を求められることが多く、営業再開後も「3密」になりやすいなどの事情で苦しい状況が続いていることが影響しているのでしょう。
このまま、新型コロナウイルスの流行が止まらず、多くの会社が忘年会や新年会を中止する決断をすれば、居酒屋の経営はさらに追い込まれることが心配されます。