国民生活センターがテスト、「メガネ型ルーペ」は老眼鏡の代わりにはなりません
「メガネ型ルーペ」25製品をテスト
国民生活センターが、「メガネ型ルーペ」のテスト結果を公開しています。
「メガネ型ルーペ」は、メガネのフレーム(枠)に、ルーペ(拡大鏡)を装着したもので、ここ数年、人気商品となっています。
しかし、国民生活センターには、「メガネ型ルーペを使用しても明瞭に見えない」「表示倍率どおりに拡大されない」などの相談が多数寄せられており、中には着用したまま歩行して転倒して骨折したなどの事例もありました。
そこで、市販されている「メガネ型ルーペ」25製品について、見え方の特性などをテストしました。
テストされた製品には、テレビでCMが流れている「ハズキルーペ」などの有名製品も含まれています。
なお、表示倍率が複数あるものは「1.6倍」前後のものをテスト対象としています。
「メガネ型ルーペ」の2つの特徴
テストの結果、「メガネ型ルーペ」の2つの特徴が分かりました。
特徴1
- 全銘柄とも、焦点距離は25~51cmと手の届く程度の距離であり、焦点距離以上に離れたものは明瞭には見えません。
つまり、「メガネ型ルーペ」は手元だけがよく見え、遠くはボケてしまいます。
特徴2
- 光学上の拡大倍率は表示倍率とほぼ一致しています。しかし、「メガネ型ルーペ」をかける前後で同じ距離のまま使用しても、表示倍率どおりには拡大されて見えません。
つまり、表示倍率どおりに拡大して見るためには、「メガネ型ルーペ」を掛けた上で、見るものを近づける必要があります。
例えば、手にした物を39cmの距離で見ていたときに、「メガネ型ルーペ」を掛けても、1.1倍にしかなりません。
表示倍率通りに1.6倍で見るためには、26cmまで近づける必要があります。
この2つの結果は、メガネ型ルーペの仕様から当然、予想されたもので、意外ではありません。
メガネ型ルーペは、メガネの形をしていますが、単なる拡大鏡なのです。
自分が必要な機能が何であるかを考える
テスト結果で確認されたように、「メガネ型ルーペ」は、あくまでも物を拡大するための「拡大鏡」です。決して、「老眼鏡」の代わりになるものではありません。
老眼を正しく矯正するためには、きちんと検眼をした上で、自分の状態に応じたメガネを作る必要があります。
また、「メガネ型ルーペ」で物を拡大して見るためには、近づく必要があります。
「メガネ型ルーペ」を掛けていないときと同じ距離では、物は大きく見えません。
つまり、「メガネ型ルーペ」を掛けさえすれば、なんでもよく見え、大きく見えるというのは誤解なのです。
国民生活センターでも、次のようにアドバイスしています。
- できる限り、購入前に想定する使用方法・時間に沿って試用して使用感等を確認し、自分の眼や使用目的に合った「メガネ型ルーペ」であるかを確認しましょう。また、眼や見え方に異常を感じた場合は使用を中止しましょう。
スマホや新聞が読みにくくなったときには、いきなり「メガネ型ルーペ」を買うのではなく、まずは眼科医やメガネ専門店で、どういう症状で、どのように改善したいのか、相談することから始めましょう。