「厚労省承認済み」とウソの表示。新型コロナ検査キット5社を消費者庁が摘発

[2021/3/28 00:00]

検査キット業者を行政指導

新型コロナウイルスの検査キットを販売している5社が、事実に反した表示をしていたとして、消費者庁が行政指導を行ないました。

摘発されたのは、「抗原検査キット」を販売した2社と、「抗体検査キット」を販売していた3社です。

消費者庁は、これらの業者の広告文などが虚偽であったとして、再発防止などを指示しました。

新型コロナウイルス検査キットに対する摘発は、2020年12月に続いて2回目となります。

「厚労省承認済み」とウソの表示

「抗原検査キット」は、鼻拭い液や唾液などに含まれる新型コロナウイルスの抗原の有無を調べるものです。

医療機関では、医療器具として厚労省の認定を得た製品が使用されています。

インターネットなどで販売されている「抗原検査キット」は、「研究用」などの名目で販売されていますが、厚労省の承認は得ていません。

しかし、摘発された業者は、つぎのようなウソの表示を行なっていました。

  • 厚生労働省承認済み【国内唯一】
  • ご注意ください!! 唯一、認可され輸入が許されている商品です

なお、厚労省では、市販されているキットでは、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを消費者が判定することはできないと警告しています。

その理由は、次の2点です。

  • 医薬品としての承認を得ておらず、キットの性能が確認されていない
  • 判定には医学的で専門的な判断が必要である

つまり、きちんとした結果がでるかどうかも分からない上に、素人では総合的な判断ができないと言うわけです。

「抗体検査キット」は感染しているかどうかは分からない

一方、「抗体検査キット」は、新型コロナウイルスに感染したことでできる抗体の有無を判定するものです。

摘発された業者は、次のような表示で、抗体検査キットを販売していました。

  • 検査キットを図示した画像と共に、「陽性反応 COVID-19に感染していることを示します
  • このキットはIgM + IgGの複合検査により、早期、中期、後期の各期をカバーでき、各期の感染者を正確に発見できます

しかし、抗体検査キットで「抗体がある」と判定されても、それは過去に感染したということが分かるだけです。

一番重要な、現在、新型コロナウイルスに感染しているかどうかは判定できません。

つまり、確実な結果を出すためには、また改めて検査を受ける必要があるのです。

不安なときは医療機関へ

消費者庁では、これらの新型コロナウイルス検査キットに対して、次のように警告しています。

  • 新型コロナウイルスの研究用抗原検査キット及び抗体検査キットは、国が認めた体外診断用医薬品ではありません。
  • 自己判断で感染の有無を調べる目的で使用しないでください。
  • 感染が疑われる場合には、医療機関等に相談してください。

新型コロナウイルスへの不安から、無認可で性能の保証がない検査キットを利用しても、それでは本当の状態は分かりません。

新型コロナウイルスに感染した可能性があるときは、かかりつけ医や、公的な窓口に相談して、医療機関でPCR検査を受けてください。

[シニアガイド編集部]