新型コロナの抗体を持っている人は、まだ1%に届かない
2回めの抗体検査を実施
厚労省が、「第2回 抗体保有調査」の結果を公開しています。
この調査は、新型コロナウイルスの抗体を持っているかどうかを調べるもので、これが2回目になります。
今回の調査は、2020年12月に、5つの県で行なわれました。
対象となったのは、東京都、大阪府、宮城県、愛知県、福岡県で、それぞれ3千人前後の住民に血液検査を行ないました。
血液中に抗体があれば、その人が過去に新型コロナウイルスに感染したことがあると推定できます。
今回の検査では、もっとも抗体を持っている人が多い「東京都」でも、抗体の保有率は「0.91%」でした。
つまり、新型コロナウイルスに感染し、抗体を持っている人は、現時点では1%にも満たないことが分かりました。
新型コロナウイルスのような感染症の場合、その地域の人口の6割程度が免疫を持っていれば、感染の拡大が収まって、流行が終息に向かうと言われます。これを「集団免疫」と言います。
しかし、今回の調査結果では、新型コロナウイルスの抗体を持っている人は1%未満であり、「集団免疫」の状態には程遠いことが分かりました。
言い換えれば、新型コロナウイルスを終わらせるためには、「ワクチン」によって抗体を持つ人を増やす必要があるのです。
多い県と少ない県で6.5倍の差
もう少しくわしく抗体検査の結果を見てみましょう。
今回、検査が行なわれた5つの県で、抗体を持っている率が一番高かったのは「東京都」で「0.91%」です。
逆に一番低かったのは「宮城県」で「0.14%」でした。
抗体の保有率には、6.5倍もの差があることが分かりました。
それだけ「東京都」は、新型コロナウイルスに感染したことがある人が多いのです。
前回の検査よりも保有者は増えている
抗体検査は、これが2回目なので、6月に行なわれた1回目の結果と比べてみましょう。
1回目の検査が行なわれたのは、「東京都」「大阪府」「宮城県」の3つです。
それぞれ、前回の検査に比べて、3倍から9倍と大幅に増えています。
それだけ各地では、新型コロナウイルスに感染した人が増えたことになります。
実際に感染した人は「陽性者」の何倍もいる
もう一つ、別の数字と比べてみましょう。
5つの県について、2020年12月7日の時点での「累積感染者数」を人口で割った数字を計算しています。
これは12月の時点で、新型コロナウイルスに感染し、陽性者として判定された人の割合を示しています。
東京都では、この数字が「0.316%」でした。
つまり、東京都民のうち、0.316%の人が、新型コロナウイルスの陽性者と判定されたことになります。
しかし、東京都で、新型コロナウイルスの抗体を保有している人の割合は「0.91%」でした。
これは「陽性者の割合」の、ほぼ3倍にあたります。
つまり、新型コロナウイルスに感染した経験がある人は、陽性者として判定された人の3倍もいるのです。
別の言い方をすれば、新型コロナウイルスに感染しても、PCR検査を受けて「陽性」という判定を受けている人は、3分の1しかいません。
この事情は、数字の差はありますが、他の県でも同様でした。
昨年末から今年にかけて、毎日たくさんの「陽性者」が見つかっていますが、それでもそれは、新型コロナウイルスに感染した人の一部にしか過ぎないのです。
陽性者の数が少なくなっても、実際の感染者は、その数倍はいます。
常に気を緩めないで、新型コロナウイルスの感染予防に努めてください。