東京都の「妊娠届」が大幅に減少。10万円分のポイント提供で出産を応援
「自然増減」にも新型コロナの影響
新型コロナウイルスの影響で、東京都の人口が減少しています。
現在の人口減少の原因のほとんどは、他県からの流入が減少して、流出が増加する「転出超過」によるものです。
しかし、もう一つの要因である「自然増減」についても、新型コロナウイルスの影響が出始めています。
この記事では、東京都の「自然増減」に大きく影響する「妊娠届」の変化と、子供を生み育てることを応援する事業について紹介します。
1割も減った「妊娠届」
日本国内で妊娠した人には、もよりの自治体が窓口になって次のようなサービスが提供されます。
- 「母子健康手帳」の交付
- 妊婦健康診査
- 両親学級
- 産前産後サポート事業
これらの事業が適切に行き届くように、妊娠11週までに「妊娠届」という届出を行なうことが推奨されています。
実際に、出産した人の99%は、妊娠届を提出しています。
東京都の妊娠届の推移を見ると、2020年4月7日の「緊急事態宣言」の直後から、大幅に減少しています。
2020年の4月から10月の半年間では、前の年に比べて1割も減りました。
これは、新型コロナウイルスが流行している状況で、妊娠/出産をすることを不安に感じているためでしょう。
10万円分のポイントで応援
東京都では、「妊娠届」の減少を受けて、対策を進めています。
その一例として、2021年4月1日から、新型コロナ禍で、妊娠/出産をためらう人を応援し、後押しをするための新事業が始まりました。
「東京都出産応援事業 ~コロナに負けない!~」という、この事業では、育児用品や子育て支援サービスに使える10万円分のポイントが提供されます。
事業の対象者は次の通りです。
- 2021年1月1日から3月31日までの間に出産し、出生日及び2021年4月1日に都内に住民票がある世帯
- 2021年4月1日から2023年3月31日までの間に出産し、出生日に都内に住民票がある世帯
なお、この制度は日本人に限らず、住民基本台帳に記録されている外国人も対象となります。
対象の世帯には、区市町村を通じて、対象家庭へ専用IDを記載したカードが配付されます。
このIDを使って、専用のWebサイトにアクセスすると、10万円分のポイントが提供されます。
専用のWebサイトでは、このポイントを使って、用品やサービスを申し込むことができます。
- 食料品 離乳食、ミルク(粉、キューブ、液体)
- 日用品 おむつ、衣類
- 育児用品 抱っこひも、ベビーカー、チャイルドシート
- 家事/育児サービス等 ベビーシッター、家事代行サービス
- その他 お掃除ロボットなど家事の負担を軽くする物、タクシー移動に使えるチケット
つまり、ポイントという形で、育児に必要な機材やサービスを10万円分提供しているのです。
ポイント制度にしたことで、受け取る側の状況に応じて用途が選べるのが利点です。
人口増減にまで及ぶ新型コロナの影響
厚労省のデータによれば、「妊娠届」の減少は、東京都だけの傾向ではなく、全国に及んでいます。
例えば、2020年5月の妊娠届出数は67,322件で、前年同月の81,737件と比較すると17.6%も減りました。
妊娠届の減少は、出産数の減少に直結しているだけに、今後は、他の県でも、東京都のような「出産応援事業」が行なわれる可能性があります。
新型コロナウイルスは、健康、経済、雇用など、複数の分野で大きな影響を与えています。
その一つに、出産による出生数の変化、つまり、人口減少の可能性があることも忘れてはいけません。