介護にかかる時間。「要介護2」までは「手を貸す程度」、「要介護3」からは「ほとんど終日」が最多
家族が介護に充てる時間
家族に要介護者がいる場合、どれぐらいの時間を介護に充てているのでしょうか。
「国民生活基礎調査」という国の調査をもとに、要介護度別の状況を紹介します。
2019年6月に行なわれた訪問調査には、家族に要介護者がいる6,295人から回答が寄せられています。
要介護度が上がると時間がかかる
調査の結果を見ると、要介護度が高くなるほど、家族が介護に充てる時間がかかることが分かりました。
例えば、「要支援1」から「要介護2」までは、「必要な時に手を貸す程度」が半分以上を占めています。
「要介護2」までは、家族介護は「必要な時に手を貸す程度」で済む人が多いことが分かります。
しかし、「要介護3」になると、「ほとんど終日」が一番多くなります。
さらに、一番状態が重い「要介護5」では、半分を超える人が「ほとんど終日」と答えています。
つまり、介護に充てる時間は、「要支援1」から「要介護2」までは「必要な時に手を貸す程度」が、「要介護3」から「要介護5」では「ほとんど終日」の人が多いのです。
「要介護3」は、介護に充てる時間から見ても、一つの分かれ目です。
「要介護3」以上の家族を在宅で介護するには、ある程度の覚悟が必要と言えるでしょう。
家庭によって違う介護の状況は
ここまで、要介護度別に、介護に充てる時間を見てきました。
しかし、介護の状況は、同じ要介護度であっても、各家庭によって異なります。
例えば、状態が軽い「要支援1」でも、「ほとんど終日」を介護に充てている人が3.9%います。
逆に、一番状態が重い「要介護5」でも、「必要な時に手を貸す程度」で済んでいる人が3.0%います。
つまり、「要支援1だから時間が掛からない。要介護5だから、必ず1日中、介護に充てなければならない」のではありません。
介護を受ける人の症状や、介護をする側の状況によって、その家庭なりの介護があるのです。
介護は、手をかけようと思えば、どこまでも、時間やお金をかけることができます。
それだけに、「この要介護度だから、必ず~をしなければならない」と思い込んでしまうと、介護が続きません。
家族の状況に応じて、介護を必要とする人に、無理のない形で介護が提供できていれば、それで良いのです。
特に「要介護3」以上で在宅介護をする場合は、ケアマネージャーが決めるケアプランの内容によって、家族の負担が大きく変わります。
ケアプランを立てるときは、介護を受ける人と、介護をする家族が、何を重視していて、何を求めているかをはっきりと伝えて、ケアマネージャーの知恵を借りましょう。