「要介護5」になる原因で一番多いのは「認知症」ではない
国の調査による介護の実態
「介護」と聞くと、その原因として「認知症」を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、実際には「認知症」以外の原因で、介護が必要になっていることも多いのです。
厚労省が行なった「2019年 国民生活基礎調査」から、介護が必要になった原因を探って見ましょう。
「認知症」以外の理由も多い
「国民生活基礎調査」によれば、介護が必要となった主な原因は、介護保険の「要介護度」によって違いがあります。
要介護度が低い「要支援者」になった原因は、「関節疾患」が最も多く、「高齢による衰弱」が続きます。
要介護度が高い「要介護者」になった原因は、「認知症」が一番多いのですが、あまり差がなく「脳血管疾患(脳卒中)」が続きます。
特に、状態が悪い「要介護4」や「要介護5」では、「認知症」よりも「脳血管障害」の方が多いのです。
7段階ある「要介護度」の内容
ここで「要介護度」について、おさらいしておきましょう。
要介護度は、介護保険で定められている、介護が必要な状態の基準です。
要介護度の判定によって、介護保険で利用できるサービスの種類や量が決まります。
要介護度は、介護保険の手続きを行なった後で、要介護認定によって判定されます。
要介護度は、「要支援1」から「要介護5」までの7段階に分かれており、「要介護5」が一番重い状態です。
具体的な状態の例を挙げてみましょう。
- 要支援1
一人でスムーズに立ち上がることは難しいが、日常生活はほぼ自立している。一人で外出できる。 - 要支援2
起き上がりや買い物に支障があるが、リハビリなどにより状態が軽くなる可能性がある。 - 要介護1
一人で起き上がるのが難しい。たびたび道に迷う。買い物や金銭管理などにミスが目立つ。 - 要介護2
歩行、体を洗うこと、爪切り、薬の服用、金銭の管理などに介助が必要。 - 要介護3
排尿、排便、口腔清潔(歯磨きなど)、着替えなどに介助が必要。 - 要介護4
寝返り、両足で立つ、移動、洗顔、洗髪に介助が必要。 - 要介護5
一日中ベッドの上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助が必要。
「認知症」以外の日常的な病気にも注意が必要
私達は、介護が必要と聞くと、すぐに「認知症」のことを想像してしまいます。
しかし、実際に要介護になる原因は、「関節疾患」や「脳血管障害」など、老化に伴って日常的に付き合わざるをえない病気の方が多いのです。
将来の認知症を恐れる前に、運動によって「関節疾患」を避けることや、血圧を制御して「脳血管障害」を避けることの方が大切なのです。
まず、自分の体調や持病をよく知り、運動不足や生活習慣病を避けて、健康的な生活を送ることを考えましょう。