いま、一番危ないのは「40代~50代」。もう新型コロナは高齢者の病気ではない
新型コロナの新しい傾向
7月14日に行なわれた政府の会議で、新型コロナウイルス感染症の新しい傾向が明らかとなりました。
会議に提出された資料をもとに、高齢者の病気から、だれもが危ない病気へ変わった新型コロナの状況をお知らせします。
全国の新規感染者の3分の2は「首都圏」で発生
最初に、新型コロナウイルス感染症の流行状況を見ておきましょう。
現在の流行の中心は「首都圏」です。
恐ろしいことに、新規感染者の3分の2が首都圏で発生しています。
人口10万人当たりの新規感染者数を見ても、「首都圏」だけが全国平均を上回っています。
それだけ、首都圏は新型コロナが広まっており、発生率も高いのです。
「東京都」が流行の中心
「首都圏」の中でも「東京都」は別格で、全国平均の3倍以上の新規感染者が出ています。
以下、神奈川、千葉、埼玉の順番ですが、すべて全国平均を上回っています。
なお、7月14日には、東京都の新規感染者が「1,149人」に上りました。
新規感染者数が千人を超えるのは5月以来で、さらに増加する勢いです。
高齢者の新規感染が激減
そして、「東京都」の新型コロナでは、新しい傾向が出ています。
新規感染者数の変化を見てみましょう。
これまで、ずっと「60代」よりも多かった「70歳以上」の新規感染者が少なくなっています。
また、他の年代では新規感染者が増えているのに、「60代」と「70歳以上」は横ばいで、増えていません。
つまり、新型コロナの新規感染者に占める「60代以上」の高齢者が少なくなっているのです。
「60代以上」の割合は、3月1日時点では30%もありましたが、7月13日時点では7%まで減っています。
いま、入院が一番多いのは「40~50代」
高齢者が少なくなった傾向が、良く分かるのが「入院患者数」です。
以前は「70歳以上」が入院患者の大半を占めていました。
しかし、いま入院患者数が一番多いのは「40~50代」です。
次も「20~30代」で、「70歳以上」は3番目まで下がりました。
入院患者数に占める「60歳以上」の割合で見ても、一番多かった時期の「74%」に対して、現在は「29%」まで下がっています。
もう、新型コロナは、高齢者の病気ではなくなったのです。
「高齢者の病気」から「だれもが危ない病気」へ
ここまで見てきたように、現在の新型コロナの新規感染者や入院患者から、高齢者が占める割合が少なくなっています。
これは、新型コロナのワクチン接種が、「65歳以上」の高齢者を優先して行なわれているためです。
ワクチンの接種が患者数を減らすことは、諸外国のデータで分かっていましたが、日本でもようやく、その効果が実感できるようになってきたのです。
高齢者に代わって中心になっているのは、「40~50代」と「20~30代」です。
特に「40~50代」は、感染した人が入院する割合が高いのが特徴です。
これまで新型コロナは、「高齢者は重症化しやすいが、若い人は入院に至る割合が低い」と言われてきました。
つまり、高齢者以外は、入院が必要になるほど重症になる割合が低く、比較的安全であるという印象を与えていたのです。
しかし、重症化しやすい高齢者に対して、ワクチンの接種が進んだことで、様子が変わって来ています。
いま、一番危ないのは「40~50代」、次に危ないのが「20~30代」です。
つまり、新型コロナは、「高齢者の病気」から、「だれもが危ない病気」へと変わったのです。
これまでのように「高齢の家族のための予防」のではなく、「自分自身の身を守るための予防」に努めてください。