7月下旬に感染爆発!? 政府の会議で公開された東京の危険な状況
東京が危ない!?
政府の新型コロナウイルス専門家会議において、東京都の流行についてシミュレーション結果が公開されました。
シミュレーションは、インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」の感染力と、「緊急事態宣言」の有無によって、9通り行なわれました。
そして、もっとも楽観的なシナリオでも、「緊急事態宣言」がないと、7月後半以降からは新規感染者数が爆発的に増加するという結果となりました。
この記事では、代表的ないくつかのパターンを紹介します。
なお、シミュレーションでは、これから夏にかけて主役となる「デルタ株」の感染力や病原性を、これまでの主役だった「アルファ株」の1.2~1.4倍の範囲で、「小」「中」「大」の3段階に設定しています。
楽観的なシナリオでも1日2千人を超える
最初に、もっとも楽観的な、デルタ株の影響が「小」の場合を見てみましょう。
グラフを見ると、7月中旬から増加が目立ち始め、8月にはいる頃には、新規感染者が止まらなくなっています。
増加の割合は、オリンピックの有無や人の移動によって差があります。
しかし、人の移動を少なく見た場合でも、9月には新規感染者が1日2千人を超えてしまいます。
効果的な「緊急事態宣言」
次に、デルタ株の影響は「小」のままで、新規感染者が1日千人を超えたら「緊急事態宣言」を出す場合を見てみましょう。
最初の増加の勢いは変わりませんが、「緊急事態宣言」が出ると、勢いが止まります。
7月中にはピークを迎え、8月以降は新規感染者の減少が続きます。
発令が遅れると、感染が大きくなる
しかし、「緊急事態宣言」の発令を、1日2千人まで待つと、「新規感染者数」のピークは8月以降にずれ込みます。
「新規感染者数」が落ち着くのも、9月以降になります。
「デルタ株」の性質によっては悲惨な状況に
ここまでは、「デルタ株」の影響を、小さく見積もった場合を見てきました。
では、デルタ株の影響が大きいと、どうなるのでしょうか。
デルタ株の影響が「大」で、「緊急事態宣言」がないとすると、かなり悲惨な状況になります。
7月中には、新規感染者が2千人を超え、それ以降も新規感染者数の増加が止まらなくなります。
もう、「オリンピック」の有無さえ、大きな違いではありません。
デルタ株が強くても「緊急事態宣言」は有効
ただし、デルタ株の影響が「大」でも、新規感染者数が千人で「緊急事態宣言」を出すと、感染の拡大は止まります。
新規感染者は、7月にピークを迎え、8月以降は減少が続きます。
発令が遅れると拡大するのは同じ
せっかく「緊急事態宣言」を出しても、新規感染者数が2千人まで待つと、ピークは8月にずれ込み、新規感染者数も最大で3千人を超えてしまいます。
「デルタ株」の強弱に関わらず、「緊急事態宣言」を出すならば、早めに出す必要があるのです。
病院のベッドが足りなくなる
ここまでは、分かりやすいように「新規感染者数」だけを見てきましたが、実際には「病床数」の方が深刻です。
もっとも楽観的な場合でも、「緊急事態宣言」がないと、病院のベッドが足りなくなってしまいます。
自分だけでも「緊急事態宣言」のつもりで行動を
ここまでのシミュレーション結果から、次の3つのことが分かります。
- デルタ株の影響が小さいとしても、「緊急事態宣言」を出さないと、7月末には、新規感染者数が爆発的に増える可能性が高い
- デルタ株の性状が悪いと、さらに悲惨な状況を招く
- 「緊急事態宣言」を出すならば、新規感染者が1日「千人」を超えたところで出したほうが、「2千人」になってから出すよりも効果が大きい
なお、このシミュレーションでは、「緊急事態宣言」の効果が、かなり強く設定されています。
しかし、実際には、「自粛慣れ」などの理由で人の移動が止まらず、緊急事態宣言の効果が上がらない可能性があります。
それを考えると、東京都がおかれている状況は一層深刻であると言えるでしょう。
マスクの着用などの基本的な予防手段を取り、人混みを避けて行動してください。
現在、東京では「まん延防止等重点措置」が発令されていますが、自分だけでも「緊急事態宣言」が出ていると思って行動してください。
また、可能であれば、できるだけ早く、ワクチンの接種を検討してください。