政府のデータで分かった「ワクチンの有効性」と「デルタ株の致死率」
6月の新型コロナの詳細
8月11日に行なわれた政府の専門家会議において、2021年6月の新型コロナウイルス感染症の状況の詳細が報告されました。
これは、2021年6月に政府が管理するデータベースに登録された約5万人のデータを利用したものです。
ここでは、その中からいくつかのトピックを紹介します。
ワクチンを接種すると死亡率が下がる
ワクチンの接種は、新型コロナウイルスに対する最大の対策です。
今回のデータでも、「ワクチンの接種をすると致死率が下がる」ことが分かりました。
6月の時点では、まだワクチンの接種が、高齢者に限られていたため、ここでは「65歳以上」のデータのみを見ています。
ワクチンを接種していない人の致死率は「4.31%」でした。
しかし、ワクチンを1回接種している人は「3.03%」に下がります。
さらに、ワクチンを2回接種している人は「0.89%」まで下がります。
つまり、ワクチンを2回接種すると、致死率は4分の1以下に下がることが分かります。
ワクチンを接種したからと言って、新型コロナに感染しないわけではありません。
しかし、ワクチンを接種することで、死亡する確率が大きく下がるのです。
デルタ株は、アルファ株よりも症状が出やすい
次に、もっとも流行している変異株「デルタ株」の致死率について見てましょう。
今回の調査では、「デルタ株」の致死率は2.2%、「アルファ株」は3.5%でした。
数字に多少の差はありますが、統計的には「有意差なし」としています。
つまり、「デルタ株」の致死率は、それ以前に流行していた「アルファ株」と大差がありません。
しかし、「デルタ株」では、「アルファ株」よりも、発熱や咳(せき)などの症状が出る人が多いというデータもあります。
致死率が低いからと言って、甘くみてはいけません。
陽性者の9割は「65歳未満」だが、死者の9割は「65歳以上」
ここからは、今回の調査全体のデータを見ていきます。
登録された新型コロナウイルスの陽性者は「52,743人」でした。
そのうち、65歳未満が87%、65歳以上が13%を占めています。
期間中に新型コロナウイルスで死亡した人は「317人」でした。
そのうち、65歳未満が11%、65歳以上が89%でした。
つまり、65歳以上の陽性者は1割ちょっとしかいませんが、死者の9割を占めています。
新型コロナは、高齢者に厳しい病気なのです。
新型コロナの致死率は「0.6%」
今回のデータでは、陽性者が「52,743人」で、そのうちの死者が「317人」でした。
陽性者が死亡する割合を示す致死率は「0.6%」となります。
ただし、致死率は、年齢によって大きく変わります。
60代前半までの致死率は1%を切っていますが、それ以後はどんどん増えて、90代では「9.97%」まで上がります。
新型コロナは、年齢が高い人ほど危険な病気なのです。
若いからと言って死者がいないわけではない
ときどき「自分は若いので、新型コロナウイルスでは死なないから大丈夫」という人がいます。
しかし、若い陽性者の致死率が低いからと言って、死者が出ていないわけではありません。
致死率が低い「18~39歳」であっても、1カ月で4人死んでいます。
また、死ぬ可能性が低いからといって、何も症状がないわけではありません。
死亡に至らなくても、「発熱」「咳」「全身倦怠感」などの症状で苦しむ人は少なくありません。
病院に入院することも難しい状況になっていますので、新型コロナウイルスに感染しないことを目標に、予防に努めてください。