政府のデータで分かった「ワクチンの有効性」と「デルタ株の致死率」

[2021/8/16 00:00]

6月の新型コロナの詳細

8月11日に行なわれた政府の専門家会議において、2021年6月の新型コロナウイルス感染症の状況の詳細が報告されました。

これは、2021年6月に政府が管理するデータベースに登録された約5万人のデータを利用したものです。

ここでは、その中からいくつかのトピックを紹介します。

ワクチンを接種すると死亡率が下がる

ワクチンの接種は、新型コロナウイルスに対する最大の対策です。

今回のデータでも、「ワクチンの接種をすると致死率が下がる」ことが分かりました。

6月の時点では、まだワクチンの接種が、高齢者に限られていたため、ここでは「65歳以上」のデータのみを見ています。

ワクチンを接種していない人の致死率は「4.31%」でした。

しかし、ワクチンを1回接種している人は「3.03%」に下がります。

さらに、ワクチンを2回接種している人は「0.89%」まで下がります。

つまり、ワクチンを2回接種すると、致死率は4分の1以下に下がることが分かります。

ワクチンを接種したからと言って、新型コロナに感染しないわけではありません。

しかし、ワクチンを接種することで、死亡する確率が大きく下がるのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

デルタ株は、アルファ株よりも症状が出やすい

次に、もっとも流行している変異株「デルタ株」の致死率について見てましょう。

今回の調査では、「デルタ株」の致死率は2.2%、「アルファ株」は3.5%でした。

数字に多少の差はありますが、統計的には「有意差なし」としています。

つまり、「デルタ株」の致死率は、それ以前に流行していた「アルファ株」と大差がありません。

出典:厚労省

しかし、「デルタ株」では、「アルファ株」よりも、発熱や咳(せき)などの症状が出る人が多いというデータもあります。

致死率が低いからと言って、甘くみてはいけません。

出典:厚労省

陽性者の9割は「65歳未満」だが、死者の9割は「65歳以上」

ここからは、今回の調査全体のデータを見ていきます。

登録された新型コロナウイルスの陽性者は「52,743人」でした。

そのうち、65歳未満が87%、65歳以上が13%を占めています。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

期間中に新型コロナウイルスで死亡した人は「317人」でした。

そのうち、65歳未満が11%、65歳以上が89%でした。

つまり、65歳以上の陽性者は1割ちょっとしかいませんが、死者の9割を占めています。

新型コロナは、高齢者に厳しい病気なのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

新型コロナの致死率は「0.6%」

今回のデータでは、陽性者が「52,743人」で、そのうちの死者が「317人」でした。

陽性者が死亡する割合を示す致死率は「0.6%」となります。

ただし、致死率は、年齢によって大きく変わります。

60代前半までの致死率は1%を切っていますが、それ以後はどんどん増えて、90代では「9.97%」まで上がります。

新型コロナは、年齢が高い人ほど危険な病気なのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

若いからと言って死者がいないわけではない

ときどき「自分は若いので、新型コロナウイルスでは死なないから大丈夫」という人がいます。

しかし、若い陽性者の致死率が低いからと言って、死者が出ていないわけではありません。

致死率が低い「18~39歳」であっても、1カ月で4人死んでいます。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

また、死ぬ可能性が低いからといって、何も症状がないわけではありません。

死亡に至らなくても、「発熱」「咳」「全身倦怠感」などの症状で苦しむ人は少なくありません。

病院に入院することも難しい状況になっていますので、新型コロナウイルスに感染しないことを目標に、予防に努めてください。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成
[シニアガイド編集部]