「50代」を中心に増加が止まらない新型コロナの重症者

[2021/8/23 00:00]
ECMOの使用例

過去最多となった重症者数

新型コロナウイルス感染症患者のうち、肺炎による呼吸困難などに陥った人を「重症者」と呼びます。

東京都の「重症者」の基準は、「人工呼吸器またはECMO(エクモ)を使用している患者」です。

これは、国の基準よりも厳しく、患者本人にとって本当に苦しい状態です。

その重症者が、8月18日現在で「275人」に及び、過去最多となりました。

どんな年齢の人が「重症者」になるのか、どれぐらいの人が「重症者」から回復することができるのか、東京都のデータをもとに紹介します。

新規陽性者が増えると「重症者」も増える

さきほど見たように、東京都の重症者数は、過去最多の「275人」です。

2021年1月の第3波のピーク時でも、150人前後でしたから、現状がきわめて深刻なものであることが分かります。

出典:東京都

8月18日現在、過去7日間の平均では、1日当たり「30.3人」が重症となっています。

これは、新規陽性者の「0.8%」に相当します。

この比率は、ほぼ一定ですから、新規陽性者が増えれば、それに従って「重症者」も増えていきます。

出典:東京都

重症者は「50代」が中心

重症者の年齢分布を見ると、「50代」が極端に多く、100人を超えています。

ついで、「60代」と「40代」が続きます。

以前多かった「70代」以上は、ワクチンの接種が進んだため、少なくなりました。

いま、重症者の中心となっているのは、「50代」前後の中年世代なのです。

もう一つ、重要なのは、「10代」や「20代」にも重症者がいることです。

新型コロナは、若い人ほど重症化しにくいという傾向がありますが、絶対に重症にならないというわけではありません。

「自分は若いから、感染したとしても軽くてすむので大丈夫」と考えてはいけません。

出典:東京都

「人工呼吸器」と「ECMO」

最後に、重症患者が装着する「人工呼吸器」や「ECMO」について、見ていきましょう。

「人工呼吸器」は、患者の口から酸素濃度の高い空気を送り込み、圧力によって肺を膨らませる機械です。

自分で呼吸ができなくなったり、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出がうまくいかなくなったときに使用します。

今週、新たに人工呼吸器を装着した患者は231人でした。

人工呼吸器から離脱した患者は132人、人工呼吸器使用中に死亡した患者は12人です。

現在、装着から離脱までの日数の平均値は6.3日ですから、いったん装着すると1週間ぐらい使うことになります。

人工呼吸器の使用例

「ECMO」は、「エクモ」と略称され、「体外式膜型人工肺」と訳されます。

こちらは、ポンプを使って、体外に血液を取り出し、肺の代わりに酸素と二酸化炭素の交換をおこなって、体内に戻します。

使用する場合は、血液を入れ替えるための太い管を入れる手術が必要です。

今週、新たにECMOを導入した患者は17人、ECMOから離脱した患者は9人でした。

「人工呼吸器」も「ECMO」も、操作には専門知識が必要な機械です、主治医の指示に従って利用してください。

ECMOの原理
[シニアガイド編集部]