他県から来る人が減り、出ていく人が増えた「東京都」の2020年
東京都の転出超過が続く
東京都の転出超過が、2020年7月から12月まで連続して続いていることが分かりました。
東京都は、転出する人より、転入する人が多く、他県から人を集めて人口を維持しています。
しかし、去年の後半は、それが崩れてしまい、社会的な人口増加が止まってしまったのです。
ここでは総務省の資料をもとに、2020年の人口の動きを紹介します。
来る人が減り、出ていく人が増えた
2020年に東京都に他県から転入した人は「46万234人」でした。
これは前年に比べて、7.3%減っています。
一方、他県へ転出した人は「43万2,930人」です。
こちらは、前年に比べて4.7%増えました。
つまり、2020年は、東京都へ入ってくる人が減り、出ていく人が増えたのです。
それでも、現状では、東京都に来る人の方が多いので、差し引きで「3万1,125人」の転入超過となりました。
2020年という年単位で見れば、東京都は他県から3万人以上の人を集め、まだ人口を増やしているのです。
2020年の後半から人が減っている
しかし、転入から転出を引いた「転入超過」の変化に注目してみると、別の面が見えてきます。
東京都では、2020年5月に初めて転入よりも、転出が多くなりました。
6月に少し持ち直しますが、7月以降は転出が多い月が続いています。
ちょうど、新型コロナウイルスによる最初の「緊急事態宣言」の頃から、東京都の人口は減り始めているのです。
隣接した県に人が逃げ出している!?
2020年に、東京都に転入するよりも、その県に転出する人の方が多い「転出超過」の県は、4つしかありません。
それは、「埼玉」「神奈川」「千葉」「沖縄」です。
埼玉、神奈川、千葉は、東京都に隣接していて、人の行き来が多い県です。
東京都への転入も転出も、この3県が1位から3位までを占めています。
その3県で、転出が多くなったので、影響が大きいのです。
推測になりますが、これまでならば、東京都に住み替えて居た人が、それを止めて、通勤やテレワークで済ませるようになったのかもしれません。
また、人の多い東京都を避けて、隣接する県に住み替えた人が増えた可能性もあります。
沖縄は東京とは距離があり、転入や転出の規模も5千人前後と少ないので一緒には語れません。それでも転出の方が475人と多いのは注目されます。
都民にとって、沖縄は移住先として魅力的な存在なのかもしれません。
年度替わりの3月の人口の変化に注目
これまで東京都は、他県からの人の流入を受けて、人口を増やし続けてきました。
しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響もあって、東京に来る人が減り、出ていく人が増えています。
この傾向が、3月の年度替わりの時期まで続くのかどうかで、東京都の人口が大きく変わるでしょう。
年度替わりの時期に、進学や転勤で東京に出てくる人が例年通りなのか、大きく減るのか、その推移が注目されます。