他県から来る人が減り、出ていく人が増えた「東京都」の2020年

[2021/1/30 00:00]

東京都の転出超過が続く

東京都の転出超過が、2020年7月から12月まで連続して続いていることが分かりました。

東京都は、転出する人より、転入する人が多く、他県から人を集めて人口を維持しています。

しかし、去年の後半は、それが崩れてしまい、社会的な人口増加が止まってしまったのです。

ここでは総務省の資料をもとに、2020年の人口の動きを紹介します。

来る人が減り、出ていく人が増えた

2020年に東京都に他県から転入した人は「46万234人」でした。

これは前年に比べて、7.3%減っています。

一方、他県へ転出した人は「43万2,930人」です。

こちらは、前年に比べて4.7%増えました。

つまり、2020年は、東京都へ入ってくる人が減り、出ていく人が増えたのです。

それでも、現状では、東京都に来る人の方が多いので、差し引きで「3万1,125人」の転入超過となりました。

2020年という年単位で見れば、東京都は他県から3万人以上の人を集め、まだ人口を増やしているのです。

出典:総務省のデータをもとに編集部が作成

2020年の後半から人が減っている

しかし、転入から転出を引いた「転入超過」の変化に注目してみると、別の面が見えてきます。

東京都では、2020年5月に初めて転入よりも、転出が多くなりました。

6月に少し持ち直しますが、7月以降は転出が多い月が続いています。

ちょうど、新型コロナウイルスによる最初の「緊急事態宣言」の頃から、東京都の人口は減り始めているのです。

出典:総務省のデータをもとに編集部が作成

隣接した県に人が逃げ出している!?

2020年に、東京都に転入するよりも、その県に転出する人の方が多い「転出超過」の県は、4つしかありません。

それは、「埼玉」「神奈川」「千葉」「沖縄」です。

出典:総務省のデータをもとに編集部が作成

埼玉、神奈川、千葉は、東京都に隣接していて、人の行き来が多い県です。

東京都への転入も転出も、この3県が1位から3位までを占めています。

その3県で、転出が多くなったので、影響が大きいのです。

出典:総務省のデータをもとに編集部が作成

推測になりますが、これまでならば、東京都に住み替えて居た人が、それを止めて、通勤やテレワークで済ませるようになったのかもしれません。

また、人の多い東京都を避けて、隣接する県に住み替えた人が増えた可能性もあります。

沖縄は東京とは距離があり、転入や転出の規模も5千人前後と少ないので一緒には語れません。それでも転出の方が475人と多いのは注目されます。

都民にとって、沖縄は移住先として魅力的な存在なのかもしれません。

年度替わりの3月の人口の変化に注目

これまで東京都は、他県からの人の流入を受けて、人口を増やし続けてきました。

しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響もあって、東京に来る人が減り、出ていく人が増えています。

この傾向が、3月の年度替わりの時期まで続くのかどうかで、東京都の人口が大きく変わるでしょう。

年度替わりの時期に、進学や転勤で東京に出てくる人が例年通りなのか、大きく減るのか、その推移が注目されます。

[シニアガイド編集部]