愛知、三重、福岡の97万人の「年金払込通知書」に、他人のデータが印刷されるミス
97万人の「年金払込通知書」にミス
日本年金機構は、10月4日から5日にかけて発送した「年金払込通知書」の一部に、他人のデータが印刷されていると発表しました。
対象となるのは、愛知県、三重県、福岡県の一部の地域です。
ミスの対象は約97万人に及びます。
誰か他の人のデータが印刷されている
今回、発送された「年金払込通知書」は、10月15日に払い込まれる年金の金額を知らせるためのハガキです。
このうち、「年金の制度・種類」「基礎年金番号・年金コード」「振込先金融機関及び支店」「令和3年10月から令和4年4月までの年金額」について、他人のデータが印刷されています。
そのため、正しい自分の年金額などを知ることができません。
誤って記載されたデータに「氏名」は含まれていないので、自分の年金金額が、すぐに誰かに分かってしまうことはありません。
しかし、自分の「年金払込通知書」に、誰のものとも知れないデータが印刷されているのは、気持ちが悪いことです。
また、「氏名」がないとはいえ、自分のデータがハガキに印刷されて、誰かの手元にあると思えば、穏やかな気持でいられない人も多いでしょう。
振り込まれる年金は「正常な金額」
日本年金機構では、10月15日に払い込まれる年金の金額は正しい金額であるとしています。
また、正しいデータを印刷した「年金払込通知書」を改めて発送します。
そして、この件に関するお詫び状と、誤った内容を印刷した「年金払込通知書」を回収するための返信用封筒を発送する予定です。
またしても外部委託業者が原因
今回のミスは、「年金払込通知書」の作成と発送を委託している業者が、印刷工程で誤りを犯したことが原因でした。
今回は幸いなことに、誤って記載されるデータに「氏名」は含まれていませんでした。
しかし、「基礎年金番号」と「金額」「振込先の金融機関名」が分かるため、記載された年金の金額が、誰のものであるのか調べる方法が、まったくないわけではありません。
そして、日本年金機構が、外部の委託業者が原因でトラブルを起こしたのは、これが初めてではありません。
2018年にも、外部のデータ入力業者に無理な分量の業務を委託し、入力ミスによって14万9千人の年金が少なく支給されるというトラブルを起こしています。
その事件の終息後には、トラブルを防ぐ対策として、外部への発注の仕組みなどを見直すとしていました。
しかし、今回の事件を見る限り、外部の業者への委託方法や、データの取り扱いなどに、まだ問題が残されていることは明らかでしょう。
誰がどれぐらいの年金を受け取っているかということは、個人の收入を明らかにすることであり、重要なプライバシーの問題です。
それだけに、そのデータの取り扱いには、細心の注意が必要なのです。
日本年金機構は、自らが扱っているデータがどれほど重要なものであるのか、改めて認識すべきでしょう。