「2月に振り込まれた年金の金額が少ない問題」が拡大。最大30万人以上に影響

[2018/3/22 00:00]

年金額不足問題が拡大

日本年金機構が、2018年2月の支払日に、年金を少なく支払っていた問題について、追加情報が公開され、影響を受けた人が8万4千人に及ぶことが分かりました。

しかも、最大で30万人を超える人に影響が出る可能性が出てきました。

最初の説明は事務量が多いことだった

日本年金機構では、これまで、今回の問題を次のように説明していました。

  • 2017年分の「扶養親族等申告書」の書式が変更となり、再提出が必要になるなど、事務処理に遅れが出た。
  • これにより、2月に支払われる年金について、「控除」の手続きが間に合わず、源泉徴収税額が正しい金額にならず、本来の金額よりも少ない金額が振り込まれてしまった。
  • 2月に振り込まれた金額と、本来あるべき金額の差額は、4月の支払い日に振り込まれる

補足すると、年金は年6回の支払いで、基本的には偶数月に支払われます。

実は、入力作業を監督できていなかった

しかし、2018年3月20日に公開された情報では、説明内容が大きく異なっています。

  • 「扶養親族等申告書」の入力作業を、外部委託業者に委託していた
  • 業者による事務処理が適切ではなかったため、締切までに提出されていた「扶養親族等申告書」についても、入力漏れや入力誤りが発生した。
  • 2月15日の支払いにあたって、正しい源泉徴収税額を反映させることができなかった

つまり、単に事務量が多くて混み合ったからではなく、業務委託の監督が不行き届きだったために、年金額の減少を招いたというわけです。

現時点で8万人、最大31万人の年金に影響

入力漏れや、入力誤りによって、4つの障害が発生しています。

  • 2月14日までに「約6万7千人」の入力漏れが判明。3月15日に、2月分の差額を支払った。
  • 2月15日以降に「約1万7千人」の入力漏れが判明。4月13日の支払い時に、2月分の差額も併せて支払う。
  • 入力誤りは、全体で「約31万8千人」と見込んでいる。これによって年金額に影響があった人数については3月26日をめどに改めて発表する
  • 年金金額には影響がないが、配偶者や扶養親族の氏名を誤って入力して例が「約55万人」あった。

つまり、「扶養親族等申告書」の入力作業を監督できなったミスにより、少なくとも「約8万4千人」の年金額が少なく振り込まれていたわけです。

しかも、さらに「約31万8千人」の年金額に影響が及んだ可能性があります。

なお、業務委託で入力作業を行なっていた「株式会社SAY企画」は、業務契約で禁止されている国外での入力作業を行なったとして、処分を受けました。

しかし、業者だけが悪いのではなく、そのような業者を業務委託先に選定し、その後の業務の進行を監督できなかった日本年金機構に責任があることは言うまでもありません。

リリースにもあるように、日本年金機構の使命は「年金受給者に正しく確実に年金を支払う」ことです。

本来の使命が果たせない組織に対しては、なんらかの処置が必要とされるでしょう。

2月の年金が少なかった人への対策

ここからは、「2月分の年金が少なかった人」への対策です。

今回の「年金額が少なかった」問題では、「扶養親族等申告書」を提出していたかどうかが分かれ目となります。

  1. 「扶養親族等申告書」を提出済み
    4月の入金額をチェックし、昨年度より少ないままであったら、日本年金機構の窓口に問い合わせる。金額が少ない原因には、いくつも可能性があるので、昨年度に比べて少しでも少なくなっていたら確認しましょう。
  2. 「扶養親族等申告書」を提出していない。
    提出しないと、配偶者控除と扶養控除が受けられず、いつまでも年金額が少ないままとなる。できるだけ早く「扶養親族等申告書」を提出する。

両方に言えることですが、まだ入力データの精査が終わっていないので、いま自分が該当するかどうかを問い合わせても、すぐに答えが返ってくる可能性は高くありません。

少なくとも、3月26日の追加発表、できれば4月分の入金日まで待った上で確認をすれば、その場で確認できる可能性が高くなります。

なお、「扶養親族等申告書」の書類を失くしてしまった場合や、記入が難しくて出せない場合は、4月下旬に少し簡単な書式になった書類が再送される予定です。

それでも難しかったら、年金事務所に行って、その場で書いてもらいましょう。「扶養親族等申告書」は、それぐらい重要な書類なのです。

[シニアガイド編集部]