「持続化給付金」の不正受給は591件。自主的な返還は2万件
持続化給付金の不正状況が明らかに
新型コロナウイルスの経済対策として行われた「持続化給付金」について、不正受給や返還の申し出の件数が明らかになりました。
「持続化給付金」は、新型コロナウイルスで収入が減少した中小法人に200万円、個人事業主でも100万円を給付する制度です。
申し込みは2020年5月1日に始まり、2021年1月15日に終了しました。
明らかになった不正受給は「591件」
会計検査院のレポートによれば、持続化給付金の不正受給は、2021年9月までに「591件」が明らかになっています。
不正受給による給付額は5億8,958万円です。
このうち、給付金の返還が行われていないものが222件あり、その給付額は2億2,108万円に及びます。
不正受給が明らかになった場合は、給付された金額に加えて「加算金」という罰金が請求されます。
自主的な返還は「2万件」
また、誤って持続化給付金を受給してしまったという「過誤申請」は、2021年3月までに15,708件ありました。
これは、分かりやすく言えば、不正受給をしたと自首した人の件数です。
持続化給付金については、早い時期から不正受給した人に対して、返還を行なうように呼びかけられていたため、件数が多くなったと思われます。
なお、経産省によれば、「過誤申請」の件数は、2021年11月4日時点で「20,150件」まで増えています。
このうち、すでに返還済みの人が「14,417件」で、154億8千万円が返還されました。
問題が多かった「持続化給付金」という制度
持続化給付金は、2021年3月末までに、423万件の給付が行なわれました。
その給付額は、5兆5,147億円に及びます。
それに比べると、今回、明らかになった「不正受給」と「過誤申請」の件数は、少なく感じます。
会計検査院では、持続化給付金について、次のような「所見」を公開しています。
国庫に納付されていない返還金について、不正受給者に返還を強く求めていくこと。
また、不正受給者の認定に向けた作業を加速させるなど、不適切な給付が看過されることのないよう取り組んでいくこと。
以上について、それぞれ留意することが必要である。
「持続化給付金」については、業務の委託体制についても、会計検査院からの指摘が行われるなど、制度全体として問題が多かったことが分かっています。
特に、給付を急ぐあまり、不正受給を防ぐ仕組みが導入されなかったことは大きな反省点でしょう。
今後、このような緊急の制度を導入する場合は、制度の設計や運営について、今回の反省が生かされることを期待しましょう。