正確な「二酸化炭素濃度測定器」を選ぶためのガイドラインが登場。「光学式」がキーワード
二酸化炭素濃度を測るための「ガイドライン」が登場
経産省が、「二酸化炭素濃度測定器の選定等に関するガイドライン」を公開しています。
二酸化炭素濃度測定器は、空気中の二酸化炭素濃度を測定する計測器です。
二酸化炭素濃度測定器は、新型コロナウイルスの流行後に、室内の換気が十分に行われているかどうかを判断するために購入する人が増え、多くの製品が登場しました。
しかし、安価な製品の多くは、計測精度が低く、実用にならないものもありました。
そのため、経産省と産業用ガス検知警報器工業会の協力により、購入のためのガイドラインが策定されたものです。
「光学式」と「補正機能」がキーワード
このガイドラインでは、二酸化炭素濃度測定器の測定精度を確保するために、測定器本体に2つの機能を求めています。
- 検知原理が「光学式」を用いたものであること。
- 「補正用の機能」が測定器に付帯していること。
まず、「光学式」について説明しましょう。
ここで言う「光学式」とは、二酸化炭素の濃度を測るための方法として「非分散型赤外線吸収(NDIR)」または「光音響方式(Photoacoustic)」を採用したものを指します。
「光学式」は、二酸化炭素分子が吸収する特定の波長光を利用して、その濃度を検知するので、二酸化炭素だけを測ることができます。
これに対して、安価な製品では、ガスセンサーを使う「ガス式」の製品が中心です。
「ガス式」では、二酸化炭素だけではなく、アルコールなどにも反応してしまいます。
次の「補正用の機能」とは何でしょうか。
どんなに高精度の測定器でも、計測値の基準がずれてしまう場合があります。
温度計に例えるならば、基準となる0℃の位置がずれていれば、すべての温度表示がずれてしまいます。
しかし、0℃の位置を修正する機能が付いていれば、正しい表示に戻すことができます。
これを「補正」または「校正」と言います。
今回のガイドラインでは、測定値のズレを修正できる機能を持っていることが条件となります。
手元にある濃度計の判定方法
すでに手元に二酸化炭素濃度測定器があるならば、その測定器が正確であるかどうかを知ることができます。
ガイドラインでは、次の3つの方法を推奨しています。
- 屋外の二酸化炭素濃度を測定したとき、測定値が外気の二酸化炭素濃度(415ppm~450ppm程度)に近いこと。
- 測定器に呼気を吹きかけ、測定値が大きく増加すること。
- 消毒用アルコールを塗布した手や布等を測定器に近づけても、二酸化炭素濃度の測定値が大きく変化しないこと。
まず、測定器を屋外に持ち出して、400ppm台と表示されることを確認します。
その上で、口から息を吹きかけてみて、表示が大きく変わることを確認します。
人間が吐く息に含まれる二酸化炭素の濃度はとても高いので、正常な測定器であれば表示が跳ね上がります。
最後に、自分の手に、少量の消毒用アルコールを吹き付け、それを近づけます。
光学式の測定器では、アルコールにはほとんど反応しません。
測定値が大きく変わった場合、その測定器はガス式の可能性が高いでしょう。
これから購入するなら「ガイドライン準拠」を確認
すでに市場には「ガイドライン」に準拠した製品が登場しています。
これから購入するのであれば、次の点に注意してください。
- 「二酸化炭素濃度測定器の選定等に関するガイドライン準拠」などの表示がある
- 「NDIRセンサ使用で純粋にCO2のみを測定」など、光学式であることがはっきりしている
特に、飲食店など、多くの人が出入りする場所で使う「二酸化炭素濃度測定器」は、ガイドラインに準拠した、精度の高い製品を選んでください。
その上で、ビル管理法で基準とされている「1,000ppm」を超えないように、適切な換気を行なってください。