東京都の新規陽性者は97%が自宅療養中。今後は「自分自身で健康観察」に
自宅療養以外は狭き門
東京都の新型コロナウイルス感染症は感染拡大が止まりません。
新規陽性者は、1月28日には「17,631人」に達しました。
1週間の平均でも1万人を超える新規陽性者が発生しています。
このように大量に発生する新規陽性者は、どのように対応されているのでしょうか。
1月26日時点で、療養中の新規陽性者は「83,039人」もいます。
一番多いのは「自宅療養中」で、51%を占めます。
そして、入院するかどうか調整中の「入院・療養等調整中」が42%います。
この2つを合わせると、今の時点で自宅で療養している人が93%を占めています。
病院に「入院」できる人は4%、ホテルなどで「宿泊療養」できる人は3%しかいません。
すでに、自宅療養以外の道は「狭き門」となっているのです。
「無症状」は「自宅療養」に決定
新規陽性者が、「入院」や「宿泊療養」と判定されるのは、どんな場合なのでしょうか。
まず、新型コロナウイルス感染症の症状が出ていない「無症状」の場合は、「自宅療養」となります。
なにかの理由で自宅ではなく施設に入りたいと希望しても、「宿泊療養」または「感染拡大時療養施設」という臨時の施設に入ることになります。
つまり、「今は重い症状は出ていないが、不安だから入院したい」という希望は、すでに通らないのです。
症状は4段階で判定
次に、新型コロナウイルス感染症の症状がある場合は、医師の診断を受け、厚労省の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」に基づいて、重症度が4段階で判定されます。
- 軽症
呼吸困難なし - 中等症I
呼吸困難、肺炎 - 中等症II
酸素投与が必要 - 重症
ICU(集中治療室)に入室、人工呼吸器が必要
「軽症」の場合、リスク要因となるような重い病気をもっていなければ「入院」になりません。
「中等症I」でも、病院ではなく「入院待機ステーション」や「酸素医療提供ステーション」と呼ばれる臨時の施設に収容される場合があります。
「入院」の対象となるのは「中等症II」または「重症」の人に限られています。
「中等症II」というのは、「酸素投与が必要なほど呼吸困難な状態」ですから、かなり症状が重くなっていないと入院できないことが分かります。
「療養者自身で健康観察」が主流に
そして、東京都では、「感染拡大緊急体制」に切り替えました。
これによって、「自宅療養」が、さらに簡易な方向へ向かっています。
具体的には、「療養者自身で健康観察」し、体調不良などが生じたら「自宅療養サポートセンター」へ連絡するという仕組みです。
つまり、自宅待機者は、自分で健康観察を行なうことになり、必要な場合の窓口のみが提供されるという体制です。
「保健所でフォローが必要な症状がある」とか「50歳以上または基礎疾患がある」などの条件に当てはまらないと、これに該当します。
それだけ症状が軽い人が多いと見ることもできますが、すでにこれまでの体制ではカバーしきれないので、自己責任に任せるしかないとも言えるでしょう。
東京都の想定では、1日の新規陽性者が2万人を超えると、自宅療養者が19万3千人になりますが、そのうち、12万1千人は「療養者自身で健康観察」となります。
つまり、これから、新規陽性者になって「自宅療養」になると、「療養者自身で健康観察」にされる可能性が、とても高いのです。
そのような状況に陥ることを避けるためにも、新型コロナウイルスに感染しないように、気をつけて生活してください。