東京都が「緊急事態宣言」を要請する可能性はあるか
「まん延防止等重点措置」の上にある「緊急事態宣言」
東京都は、新型コロナウイルス感染症の対策として「まん延防止等重点措置」を、3月6日まで延長しました。
本来は2月12日で終了する予定でしたが、新型コロナウイルスの流行が止まらないために3週間延長したのです。
このまま流行の拡大が止まらない場合、東京都が「まん延防止等重点措置」よりも厳しい「緊急事態宣言」を国に要請する可能性もあります。
ちょうど、東京都が「緊急事態宣言」を要請する規準が改訂されたので、その内容を紹介しましょう。
「医療体制」と「新規陽性者数」が規準
東京都が「緊急事態宣言」を要請する規準は、2月に入ってから改訂されました。
具体的には「感染が収束方向になく、下の(1)および(2)を共に満たした場合、緊急事態宣言の要請を判断する」としています。
- (1)医療提供体制の逼迫度合い
オミクロン株の特性を踏まえた重症用病床使用率 30~40%
または 酸素投与が必要な方の割合 30~40% - (2)社会経済活動への影響
新規陽性者数(7日間平均) 2.4万人
では、この新基準に対して、現状はどうなっているのでしょうか。
2月14日時点で見ると、つぎのようになります。
- オミクロン株の特性を踏まえた重症用病床使用率 30~40%のところ29.2%
- 酸素投与が必要な方の割合 30~40%のところ15.3%
- 新規陽性者数(7日間平均) 2.4万人のところ1万5,446人
つまり、現状では「緊急事態宣言」が要請される規準に届いていません。
また、ここ数日は、新規陽性者数が前の週の同じ曜日を下回る日が続いており、「感染が収束方向になく」という前提を満たさない可能性さえあります。
つまり、新しい規準で見ると、すぐに「緊急事態宣言」が要請される可能性は低いでしょう。
オミクロン株に合わせて変わった「要請規準」
どうして東京都は、「緊急事態宣言」を要請する規準を更新したのでしょうか。
理由は、オミクロン株の特性にあります。
オミクロン株は感染力が強く、毎日の新規陽性者数が大きくなります。
実際に、オミクロン株が中心の「第6波」では、デルタ株が中心だった「第5波」よりも、新規陽性者数が大幅に増えました。
また、オミクロン株は肺炎になる割合が低く、人工呼吸器やECMOの使用率だけでは重症者を把握することが難しくなっています。
そのため、「オミクロン株の特性を踏まえた重症用病床使用率」など、新しい規準が定義されました。
なお、新規陽性者数の「2.4万人」という数字は、「欠勤者が就業人口の1割に達する恐れがある水準」としています。
東京都では、この新しい規準に沿った形で、少なくとも週に1回データを公開しています。
「緊急事態宣言」が要請される可能性が気になる場合は、このデータを確認してください。