新型コロナ対策の「ゼロゼロ融資」を借りた理由、借りなかった理由
無利子/無担保の「ゼロゼロ融資」
新型コロナウイルスによって業績が悪化した企業を対象に、金融機関が無利子/無担保でお金を貸してくれる制度が用意されています。
この制度は、通称を「コロナ融資」または「ゼロゼロ融資」といい、多くの企業が利用しています。
この記事でも、この制度を「ゼロゼロ融資」と呼びましょう。
では、「ゼロゼロ融資」で借りたお金は、どんな用途に利用されたのでしょうか。
また、「ゼロゼロ融資」を借りなかった企業は、何が理由で利用をためらったのでしょうか。
帝国データバンクのレポートをもとに、「ゼロゼロ融資」の状況を紹介します。
2022年2月に行なわれた調査には、全国の1万1,562社が回答しています。
半分以上の企業が利用している
ざっくり見ると、「ゼロゼロ融資」を借りている企業は5割、借りていない企業は4割です。
半分以上の企業が利用していることから見ても「ゼロゼロ融資」は、おもわず利用したくなる魅力的な制度だったことが分かります。
小さな企業ほど利用している
「ゼロゼロ融資」は、規模が小さい企業ほど利用しています。
規模の小さい企業が、融資を受けることで、厳しい状況を乗り切ろうとしている様子がうかがえます。
主な用途は「人件費」と「仕入れ」
「ゼロゼロ融資」で借りたお金の用途は、「人件費」と「仕入れ」が中心です。
企業からは「手元資金としてプールしておいて、日常の運転資金となっている。結果的に、人件費や日常の経費や設備投資に充てることになった」というコメントがありました。
「ゼロゼロ融資」は、雇用を維持し、業務を継続するために使われたのです。
利用しない理由は「負債を増やしたくない」
では、「ゼロゼロ融資」を利用しなかった企業は、どんな理由があったのでしょうか。
その理由を尋ねたところ、「負債を増やしたくないから」と「業績が回復し、借りなくても資金繰りに困らないから」が挙がりました。
「負債を増やしたくないから」というのは、お金を借りて現在の業務を続けたとしても、将来の返済ができるかどうかが不安なのでしょう。
例えば、「売り上げが新型コロナ前に戻れば条件通りに全額返済は可能だが、そうでなければ大変厳しい状況」というコメントがありました。
また、すでに業績が回復したのであれば、無理に借金を増やさないのは当然のことです。
10社に1社は「返済が不安」
「負債を増やしたくないからゼロゼロ融資を利用しない」という意見を見ると、融資を受けた企業が、ちゃんと返済ができるかどうか不安になります。
融資を受けた企業の8割は、予定通りに返済できるとしています。
しかし、1割を超える企業が「返済が不安」としています。
さらに、全体の1.5%の企業は、すでに返済が滞り、「減額」や「返済猶予」、「信用保証協会による代位弁済」などの救済措置を受けていました。
利用した企業の10社に1社は「返済が不安」、100社に1社は「予定通りには返せなくなった」わけです。
ご利用は計画的に
2022年3月で終了予定だった「ゼロゼロ融資」は、6月末まで延長されることが決まりました。
しかし、融資を受けても、返済できなければ、いつかは破綻してしまいます。
無理に事業を継続しても、借金が増えるだけに終わってしまうのです。
「ゼロゼロ融資」の利用を考える際には、返済が可能かどうか慎重に検討し、計画的に利用してください。