「クレベリン」据え置き型にも措置命令。「空間除菌」の根拠なし

[2022/4/18 00:00]
出典:消費者庁

「空間除菌」の表示を問題

消費者庁は、大幸薬品に対して、据え置きタイプの除菌製品「クレベリン置き型」の表示の改善と再発防止を求める措置命令を発しました。

消費者庁は、「クレベリン置き型をリビング等の室内に設置すれば、室内空間に浮遊するウイルスまたは菌が、除去または除菌される効果が得られるかのような表示を行なっていた」ことを問題としています。

消費者庁は、その表示の根拠となる資料の提出を受けましたが、合理的な根拠を示すものではなかったとしています。

差し止めを求めて係争

消費者庁と大幸薬品は、クレベリンの空間除菌効果についての係争を続けています。

まず、消費者庁が、クレベリンの各製品について、表示改善の措置命令を発しました。

それに対して、大幸薬品が東京地裁に差し止めの申し立てを行ないました。

これに対し、東京地裁は、クレベリンの据え置きタイプについてのみ、措置命令の差し止めを認めました。

消費者庁は、差し止められなかったペンタイプ、フックタイプ、スプレー、ミニスプレーについて措置命令を行なうとともに、東京高裁に差し止めの無効を申し立てました。

これを受けた東京高裁は、地裁とは逆に、大幸薬品の差し止めの申し立てを認めない決定を行ないました。

そこで、消費者庁は、残っていた据え置きタイプについても、措置命令を行なったのです。

しかし、大幸薬品は「措置命令の内容を精査した上で、適切な対応を検討いたします」としており、今後も係争が続く可能性があります。

主力製品中の主力製品

大幸薬品によれば、「クレベリン」は、国内ウイルス除去市場の4割以上のシェアを占めています。

2020年には、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、前年の4倍以上に売り上げを伸ばしました。

大幸薬品が、2020年に過去最高の利益を上げた原動力なのです。

2021年にはブームが去り、2020年の半分以下に売り上げを落としたため、過去最大の赤字の原因となりました。

つまり、クレベリンは、その売り上げが大幸薬品全体の業績を大きく左右するほどの主力製品なのです。

出典:大幸薬品

国内ウイルス除去市場では存在感のある「クレベリン」ですが、とくに「置き型」は市場におけるシェアが高く、売り上げの大半を占める主力製品です。

つまり、今回消費者庁が措置命令を出した「クレベリン 置き型」は、大幸薬品にとっては主力製品中の主力製品なのです。

それだけに、大幸薬品が、今回の措置命令に対して、どのような対応を取るのか注目されます。

出典:大幸薬品
[シニアガイド編集部]