この10年間で800店舗も増えた「回転寿司」。「1皿100円」時代は終了
10年前の1.6倍に拡大
企業情報サービスの帝国データバンクが「回転寿司業界」の調査結果を公開しています。
2021年度の国内の回転寿司市場は、7,400億円を超える見込みとなりました。
これは、10年前の1.6倍に拡大したことになります。
店舗数も2022年2月末時点で、約2,200店に達しました。
こちらは、10年前に比べて、約800店も増加しました。
最近の出店は、郊外のロードサイド大型店から、ターミナル駅近くの小規模店へとシフトしています。
「ハンバーガー」に次ぐ成長分野
外食産業の中で、「回転寿司」は、「ハンバーガー」に次ぐ成長を遂げています。
「ハンバーガー」の成長の理由は、新型コロナをきっかけにしたテイクアウト需要でした。
一方、「回転寿司」は、店内飲食の回復が成長の理由です。
デザートやラーメンを始めとする、300円以上の高額なサイドメニューが、ファミリー層を中心に売れています。
「1皿100円」時代の終わり
「回転寿司」業界の最大の課題は「水産物の価格高騰」です。
ロシアのウクライナ侵攻にともない、ロシア産水産品の禁輸などで、水産品の価格が高騰しました。
また、円安により、海外からの輸入食材全体が値上がりしています。
すでに、イクラやサーモンなど人気の定番商品の値上げを実施したチェーンもあります。
しかし、一説には「5割」と言われるほど、原価率が高い「回転寿司」では、一部の製品の値上げに留まらない可能性があります。
例えば、業界大手の「スシロー」は、10月からの値上げを予告しています。
予告によれば、一番安い皿が、税込110円から税込120円へと値上げされます。
これは、税抜価格で見ると、100円から109円への値上げとなります。
税込ではなく、税抜価格で見ても「1皿100円」を超えてしまうのです。
これまでの回転寿司は、「1皿100円」が価格の目安でした。
高額な商品はあっても、ベースは「1皿100円」でしたし、「回転寿司」ではなく「100円寿司」という呼び方もありました。
これまでなじんできた「1皿100円」という常識が終了する衝撃を、消費者が受け入れるかどうかが注目されます。