自宅療養ではもらえなくなる!? 新型コロナの「入院給付金」
生保における新型コロナの取り扱いが変わる
生命保険における「新型コロナウイルス感染症」の扱いが、変わります。
主に変更されるのは「入院給付金」という制度です。
現在、新型コロナは特例で、自宅療養でも入院給付金の対象となっているのですが、対象となる人が大きく制限されることになりました。
この記事では、今回の制度の変更について、わかりやすく紹介します。
入院するともらえる「入院給付金」
まず、入院給付金という制度から紹介しましょう。
生命保険では、病気やケガで入院したときに支払われる「入院給付金」という制度があります。
例えば、1日5千円で契約されている生命保険に入っていて、病気で7日間入院すると、5,000×7で、35,000円の入院給付金が支払われます。
「入院給付金」は、一般的な制度で、生命保険以外でも、損害保険や少額短期保険などでも用意されています。
新型コロナだけは特別扱い
ご紹介したように、入院給付金は、「入院」したときに支払われる契約です。
例えば、カゼをひいて自宅で療養していても、入院給付金は支払われません。
しかし、新型コロナウイルス感染症の場合、この入院給付金について、「みなし入院」という特別な取り計らいがされています。
新型コロナウイルス感染症では、PCR検査で陽性になっても、入院する人は多くありません。
そのほとんどは、自宅やホテルなどで、規定の日数だけ療養を行ないます。
そして、スマートフォンで療養証明書を入手するだけで、「陽性が判明した日」から「解除基準に該当する日」までの「入院給付金」が支給されるのです。
入院していないのに「入院給付金」が支給されるのですから、異例の措置と言うしかありません。
それだけ「新型コロナ」は特別な病気として扱われているのです。
「重症化リスクの高い人」に限定
しかし、「入院給付金」における新型コロナの扱いは、大きく変わろうとしています。
そのきっかけは、金融庁による「要請」でした。
この要請で重要なのは、「新型コロナにおける対象を重症化リスクの高い人に限定する」という点です。
つまり、入院給付金などの対象となるのは、次のどれかに該当する人に限られることになります。
- 65歳以上の者
- 入院を要する者
- 重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要な者
- 妊婦
つまり、自宅療養をしたのに「入院給付金」が受け取れるのは、ごく限られた人になります。
早ければ9月中にも新制度に
これらの制度の変更はいつごろから行なわれるのでしょう。
金融庁の要請を受けて、生命保険、損害保険、少額保険の各団体は、会員に向けて制度の変更を検討するように周知しました。
早ければ、9月中にも、各保険会社が制度の変更を開始するでしょう。
入院給付金の支払いとなる対象が少なくなり、支出が大きく減るのですから、すぐにでも対応する保険会社が大半を占めるでしょう。
今回の「入院給付金」の変更は、新型コロナが“特別な病気”から、“普通の病気”へと変わっていくことの表れです。
これからは「新型コロナだから」ということで行なわれている“特別な措置”が、少しずつ消えていくことになるでしょう。