介護保険の利用者が多いのは「80代後半」。90歳以上になると過半数の人が利用

[2022/9/29 00:00]

介護保険を使っている人のプロフィール

高齢や病気が理由で、日常生活が困難になった人を助けることを「介護(かいご)」と言います。

自分や家族の誰かに「介護」が必要になったときに、「介護保険」は欠かせない存在です。

しかし、介護保険は複雑な制度で、全体を理解することは簡単ではありません。

そこで、この記事では、どのような人が介護保険を使っているのか、という点に絞って紹介します。

使っている人の状態が分かることで、自分や家族との関係が想像しやすくなるでしょう。

利用者のピークは「80代後半」

介護保険を利用できるのは「65歳以上の人」か「40歳から64歳で、特定の病気の人」に限られています。

実際の利用者は「65歳以上の人」が多く、9割以上を占めています。

性別では「女性」が多く、年齢では「80代後半」がピークとなります。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

平均寿命まで生きると、多くの人が使う

次に、それぞれの年代における介護保険の利用率をグラフにしてみましょう。

これを見ても「女性」の利用率が高いことが分かります。

女性は「80代後半」から、男性は「90代前半」で、その世代の半分ぐらいが利用するようになります。

つまり、自分や家族が、平均寿命か、それ以上に長生きをすると、介護保険との関わりが避けられないということです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

心身の状態を7段階に分ける

介護保険を利用している人の心身は、どのような状態なのでしょう。

介護保険では、それを「要介護度」と呼び、7段階に分けています。

該当する人が一番多いのは「要介護1」、次に多いのが「要介護2」です。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

それぞれの要介護の内容は、次の通りです。

  • 要支援1:日常の複雑な動作には部分的な介助を必要とする
  • 要支援2:日常の複雑な動作に介助を必要とする場面が多くなる
  • 要介護1:運動機能の低下、思考力や理解力の低下、問題行動がみられる
  • 要介護2:食事や排泄(はいせつ)など基本動作でも部分的な介助が必要な状態
  • 要介護3:基本動作だけでなく全面的な介助が必要な状態
  • 要介護4:全面的な介助が必要な状態
  • 要介護5:介護なしでは生活できない状態で、意思の疎通も困難である

介護保険では、「要介護度」が重くなるほど、サービスに利用できる金額が多くなります。

ざっくりした金額で言うと、「要支援1」では月額5万円、「要介護5」だと月額36万円が使えます。

1年毎に「要介護度」が見直される

介護保険を利用するための「介護保険証」は、原則として1年に1度更新されます。

高齢者は心身の状況が変わりやすいので、一定の期間ごとに、「要介護度」が見直されるのです。

例えば、「要支援1」と認定されていた人の場合、77%はそのまま「要支援1」ですが、23%の人はより重い「要支援2」以上に変更されています。

どの要介護度でも、前年と同じ人が70~80%です。

要介護度が軽くなる人は10%以下で、重くなる人が10~20%ほどです。

「要介護5」は、それ以上の段階がありませんので、同じ段階に留まる人が9割を超えます。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

自立した生活が難しくなったら介護保険の利用を

介護保険の利用者は、「80代後半」の「女性」が多く、「運動機能の低下、思考力や理解力の低下、問題行動がみられる」状態の人が多いことが分かりました。

もちろん、こういう人が多いということであって、そうではない人もたくさんいます。

例えば、「40歳以上65歳未満」でも、「特定疾病」と呼ばれる16の病気が原因であれば、介護保険が利用できます。

自分や身の回りの人が、自立した生活をする上で不便を感じるようになったときが、介護保険の適齢期です。

もし、そういう状態になったら、すぐにもよりの役所の窓口に相談に行きましょう。

[シニアガイド編集部]