10月からの社会保険の適用拡大。「加入予定」は41%、「働き方や職場を変える」が14%
社会保険の対象となる会社が増える
10月1日から、社会保険の適用範囲が広げられました。
これに伴ない、人材紹介サイトの「エン派遣」がアンケートを行なっています。
2022年8月に行なわれたインターネット調査には、「エン派遣」を利用している3,256人が解答しています。
「100人以上」の企業と「2カ月以上の契約」が対象に
最初に、今回の改正点を紹介しましょう。
10月からの改正では、次の2点が変わりました。
- 対象となる会社の規模が「常時500人を超える」から、「常時100人」に変更
- 雇用期間の条件が「1年以上見込まれること」から、「2カ月を超えて」に変更
つまり、これまで対象ではなかった中小の会社でも、社会保険への加入が義務付けられます。
また、2カ月以上の短期間の雇用契約も、社会保険の対象となります。
8割以上が前向きに受け止めている
最初に「社会保険への加入は、良いことか、迷惑か」と聞いています。
「良い」と「どちらかと言えば良い」を合わせると、8割以上の人が前向きに受け止めています。
制度の充実を評価
社会保険への加入を前向きに受け止めている人に、その理由を聞いています。
飛び抜けて多いのは、「将来受け取る年金の増額」と「傷病手当金/出産手当金などの給付」の2つでした。
社会保険に加入していると、老後に受け取る老齢年金が増額されます。
また、病気やケガで休んだときに、1年6ヵ月に渡って「傷病手当金」が給付されるなど、手当が充実しています。
社会保険への加入を前向きに受け止めている人は、それを評価しているのです。
扶養や手取りで問題が
一方、社会保険への加入を「迷惑」と感じている人は、どんな不都合を感じているのでしょうか。
コメント形式で、いくつか紹介しましょう。
- 主人の扶養内で働いている方がメリットが多い。(40代女性)
- 扶養控除が受けられなくなる。(40代女性)
- 社会保険適用拡大前と同程度の手取り給与を維持するためには、勤務時間を増やさなければならない。(40代女性)
- 派遣社員だと、退職ごとに手続きが必要になるので面倒。(40代男性)
まとめると、「夫の扶養から外れる」「手取りが少なくなる」「扶養関係の手続きが面倒」という、3つの問題が浮かんできます。
2年後の制度改正も考慮に
社会保険への加入には、メリットとデメリットがあることが分かりました。
では、実際に「新たに社会保険の加入予定者」になった人は、どのような選択をするのでしょうか。
一番多い解答は「わからない」で、回答者の4割を超えます。
アンケートが、制度改正の2カ月前ということもあって、自分の行動を決めかねている人が多いのでしょう。
次に多いのが「社会保険に加入予定」で、こちらも4割を超えました。
一方で、デメリットを重視して「適用外になるように、働き方や職場を変える予定」という人も1割以上います。
この場合、知っておきたいのは、社会保険の改正がこれで最後ではないことです。
2024年10月には、対象となる事業所の規模が「100人以上」から、「50人以上」へと拡大されます。
つまり、今回適用外の職場を選んでも、それが50人以上の規模であれば、2年先には、また社会保険の対象となってしまいます。
社会保険への加入を避けるために転職を考えている人は、2年先の改正も考慮してください。