新型コロナによって、世界の平均寿命が「1.8歳」縮んだ
新型コロナの死者は「659万人」
新型コロナウイルス感染症による死者は「659万人」に達しました(2022年11月3日現在、米ジョンズ・ホプキンス大学集計)。
これだけ大量の死者が出ると、死亡率や平均寿命に対しても、世界的な影響が出ています。
ここでは、国連の「世界人口推計」をもとにした三井住友信託銀行によるレポートから、新型コロナの影響を紹介します。
平均寿命は「1.8歳」縮んだ
新型コロナによる実際の感染死者数は、各種の統計よりも、はるかに多いと思われます。
それは、2020年から2021年にかけて、死亡率が急上昇し、平均寿命が縮小したことで確認できます。
「世界人口推計」によれば、死亡率は、2019年の千人あたり「7.5人」から2020年には「8.1人」、2021年には「8.8人」に上昇しました。
また、平均寿命は、2019年の「72.8歳」から2020年には「72.0歳」に、2021年には「71.0歳」に縮まりました。
つまり、新型コロナによって、平均寿命が「1.8歳」も縮んだのです。
平均寿命の縮小には地域差がある
新型コロナによる、人口への影響は世界的な現象でした。
ただし、その影響は地域と時期によって異なります。
平均寿命の変化をみると、2019年から2020年にかけて、中南米、北米、ヨーロッパでは大きく縮小したのに対し、アジアとアフリカは小幅の縮小にとどまりました。
そして、オセアニアでは、平均寿命が縮小せずに拡大しました。
しかし、2020年から2021年の変化をみると、アジア、中南米、ヨーロッパ、アフリカが大幅に縮小し、北米とオセアニアが小幅の縮小となりました。
2019年から2021年までの2年間を通算すると、アジア、北米、ヨーロッパの平均寿命の縮小幅は「2歳前後」でほぼ並びました。
一方、中南米では大幅に縮小し、オセアニアでは平均寿命が伸びています。
短期的影響は大きいが、長期には及ばない
新型コロナは、死亡率の上昇を通じて、世界人口に大きな影響を与えました。
しかし、「世界人口推計」では、長期的な影響は少ないと予測しています。
その理由は、新型コロナの死者が高齢者層に集中しており、出生率に与える影響が小さいためです。
人口の維持という観点から見れば、新型コロナが若年層の死亡率が高い病気でなかったことは、不幸中の幸いであったと言えるでしょう。