外食産業の売上が新型コロナ前の2019年を上回る
新型コロナ前の売上を上回る
2022年10月の外食産業の売上が、新型コロナ流行前の2019年10月を上回りました。
新型コロナ流行後に、2019年の売上を超えたのは、これが初めてです。
業界団体である一般社団法人 日本フードサービス協会によれば、外食産業230社の2022年10月の売上は、2019年10月の「105.5%」となりました。
一方、店舗数は「36,996店舗」で、2019年の93.1%まで減っています。
好調な「ファーストフード」
2019年との比較を、業種別に見てみましょう。
もっとも伸びているのは「ファーストフード」で、2019年の「118.0%」となりました。
協会では「テイクアウト、デリバリーが堅調で、店内飲食も戻った」としています。
しかし、それ以外の業種は、2019年を下回りました。
特に「パブ/居酒屋」は、2019年の「63.4%」に留まっています。
協会では「少人数の個人客を中心に回復基調が続いているが、夜間の二次会需要や法人の宴会需要などは戻りに非常に鈍い」としています。
好調な「洋風」、戻りきらない「麺類」
外食産業の回復を牽引している「ファーストフード」ですが、業態による差が小さくありません。
ハンバーガーなどの「洋風」は、秋の定番メニューや新製品の投入で「135.9%」と好調です。
しかし、「麺類」は、2019年10月の売上には届いていません。
「夜間」の客が戻らない
業種別のコメントを見ると、朝や昼間に対して、「夜間」の客が戻っていないことが不調の原因とされています。
例えば、「ファミリーレストラン」では、「夜間の客数の戻りは鈍い」としています。
夕食中心の「ディナーレストラン」は「人手不足で営業時間を増やせない」のが不調の一因とされています。
「喫茶」も「夕方以降の集客がかんばしくない」とされています。
つまり、朝や昼に店内で食事をする人は戻りましたが、夜間の外食は、まだ避けている人が多いのでしょう。
また、「ファミリーレストラン」では「来店目的が明確な専門店ほど、回復傾向が強い」とされています。
つまり、食べるものがはっきりしている焼肉などは売上が戻っています。
しかし、24時間営業のファミレスに夕食を取りに行って、そのままダラダラと長居をするような客層が、営業時間の短縮によって失われてしまったのでしょう。
外食産業は、新型コロナという試練を乗り越えたものの、インフレや人手不足という障害に苦しんでおり、以前と同じ状態に戻ったわけではありません。