「出生率」が高く、「死亡率」が低い、東京都の人口事情
他県と大きく異なる「東京都」
東京都が、2021年(令和3年)の人口動態統計を公開しています。
東京都は、他の県からの人口の流入が多く、人口の変化についても国全体とは大きく異なる特徴があります。
この記事では、「出生」「死亡」「婚姻(結婚)」「離婚」の4つの分野について、その特徴を紹介します。
全国よりも高い「出生率」
東京都の出生数は「95.404人」でした。
人口千人当たりの出生数を示す「出生率」は「7.1」でした。
全国の出生率は「6.6」なので、東京都はそれを大きく上回っています。
全国よりも低い「死亡率」
東京都の死亡数は「127,649人」でした。
人口千人当たりの死亡数を示す「死亡率」は「9.5」でした。
全国の死亡率は「11.7」なので、東京都はかなり低いことが分かります。
全国よりも高い「婚姻率」
東京都の婚姻件数(結婚したカップルの数)は「69,813組」でした。
人口千人当たりの婚姻件数を示す「婚姻率」は「5.2」でした。
全国の婚姻率は「4.1」なので、東京都が大きく上回っています。
また、東京都の平均初婚年齢は、夫が「32.2歳」、妻が「30.5歳」で、全国で最も高くなっています。
東京都のカップルは、極端な晩婚なのです。
全国よりも低い「離婚率」
東京都の離婚件数は「69,813組」でした。
人口千人当たりの離婚件数を示す「離婚率」は「1.46」でした。
全国の離婚率は「1.50」なので、東京都が下回っています。
これだけ好条件でも、1年で3万人以上減少
このように見てくると、東京都は「出生率が高く」「死亡率が低く」「結婚する率が高く」「離婚する率が低い」という特徴があります。
これらの特徴は、人口の増加を考える上では、好ましい状況と言えるでしょう。
その原因は、大学進学時と就職時、つまり10代後半から20代前半に、他県から流入してくる人口が多いためです。
その結果、東京都には、結婚して子供を持つのに適した年齢の男女が多く集まります。
「婚姻率」や「出生率」が高くなるのは当然でしょう。
しかし、その東京都でも、出生数から死亡数を引いた「自然増減数」は、「マイナス32,245人」でした。
つまり、全国よりも少しマシなだけで、人口が減っていることには違いがありません。
他県からの流入が止まってしまえば、東京都の人口は減ってしまうのです。
東京では「1人が産む子供の数が少ない」
また、東京都には別の問題もあります。
東京都では、1人の女性が一生の間に生む子供の数に相当する「合計特殊出生率」が「1.08」でした。
これは、全国の「1.30」よりもかなり低い数字です。
つまり、東京都のカップルは、「子供は1人」のことが多く、2人以上の子供を持つ割合が低いのです。
その理由の1つは、東京都のカップルが「晩婚」なことです。
全国と比べると、20代で子供を産む割合は低く、30代と40代は高くなっています。
遅く結婚するので、2人目を持つ時間的な余裕も少なくなります。
もう1つの理由は、東京都では子供を育てるためのさまざまな負担が重いことでしょう。
例えば、働くために子供を預けることができたとしても、託児所の料金や手間を考えると、2人目の子供を持つ気にはなりにくいでしょう。
このように、他県に比べれば恵まれた状況に見える東京都でも、人口を増やすためには多くの課題があります。
それだけ、現在の日本における「少子高齢化」は深刻で、人口が増えるように状況を変えることは簡単ではありません。