介護事業者の倒産が、前年の1.7倍に増加。介護保険制度開始以降で最悪の数字

[2023/1/12 00:00]

介護保険制度開始以来、最悪の倒産件数

調査会社の東京商工リサーチによれば、2022年の老人福祉/介護事業の倒産件数は「143件」でした。

これは、2000年の介護保険制度が始まって以来、最悪の数字です。

昨年と比べても、1.76倍に増加しました。

出典:東京商工リサーチ

1つのグループだけで31社が倒産

2022年に倒産件数が急増したのは、デイサービス会社「ステップぱーとなー」グループの連鎖倒産が原因です。

「ステップぱーとなー」グループだけで、倒産件数は31件に及びます。

「ステップぱーとなー」は、リハビリ特化型のデイサービス(通所介護事業所)ですが、“リハビリではなく、ジム感覚で通えるデイサービス”をうたい、関東地方を中心にチェーンを広げていました。

また、新型コロナウイルス感染症の影響が影響した倒産も63件に達しています。

新型コロナによる感染防止の対策コスト、顧客の利用頻度の減少、在宅勤務の定着による需要減などに対応できなかった事業者の倒産が相次ぎました。

出典:東京商工リサーチ

「10人未満」の企業が8割を占める

倒産した事業者の従業員数を見てみましょう。

最も多いのは「5人未満」の85件でした。

そして「5人以上10人未満」が32件で続きます。

つまり、従業員数が10人未満の零細な企業が多く、全体の81.8%を占めています。

一方で、「50人以上300人未満」と介護事業としては大きい事業者の倒産も4件ありました。

今年も倒産が増加する恐れ

東京商工リサーチは、今後も介護報酬は大幅なプラス改定の可能性が低く、介護事業者の淘汰は避けられないとしています。

特に、コロナ禍や物価高で経営が悪化している小規模事業者に余裕はなく、2023年も倒産する企業が増える可能性が高いでしょう。

[シニアガイド編集部]