介護事業者の倒産が3割も減少。コロナ支援策と介護報酬改定が有効
前年より3割も減った「倒産」
調査会社の東京商工リサーチが、「老人福祉/介護事業」の倒産状況を公開しました。
2021年の倒産件数は「81件」で、過去最多だった前年に比べて3割も減りました。
東京商工リサーチでは、「コロナ関連の資金繰り支援策に加え、介護報酬が0.7%プラスされたことが下支えし倒産が抑制された」と分析しています。
訪問介護事業の倒産が半分を占める
倒産した企業の業種を見ると、ホームヘルパーが自宅を訪れる「訪問介護事業」が過半数を占めています。
これに、施設に通う「通所・短期入所介護事業」と「有料老人ホーム」が続きます。
ほとんどの事業者が消滅してしまう
倒産の形態は、会社を清算する「破産」が9割以上を占めており、事業が継続されずに消滅してしまいます。
事業者が消滅すると、介護サービスが提供されなくなるので、利用者への影響が避けられません。
なお、倒産した法人の半分以上が、「資本金が1億円未満」「従業員数が5人未満」に該当しており、小規模な事業者が事業を継続できずに倒産に至っている状況は変わっていません。
新型コロナウイルスの影響
2021年の介護事業者の倒産のうち、「11件」は新型コロナウイルスが原因となって倒産に至りました。
介護事業は、人と人とが接触する場面が多いだけに、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けます。
特に、「訪問介護事業」は、利用者の自宅に人が入る業務形態なので、サービスの利用を控える人が多く、業績に大きく影響します。
そのため、「訪問介護事業」の2021年の倒産は、2020年に比べて、16%の減少に留まりました。
一方、「通所・短期入所介護事業」と「有料老人ホーム」は、施設に通う形式のため、感染予防対策が行ないやすいという特徴があります。
そのため、2021年の倒産は、2020年に比べて50%以上も減少し、半分以下になりました。
介護事業、特に「訪問介護事業」は、新型コロナウイルスの流行が続く限り、苦しい経営が続くことが避けられないでしょう。