本当は「会社都合」なのに「自己都合」で退職してはいけない理由

[2023/3/15 00:00]

退職経験者へのアンケート

調査会社のJob総研が「自己都合退職の実態調査」の結果を公開しています。

2023年2月に行なわれたインターネット調査には、20代から50代の男女会社員が回答しています。

この記事では、会社を退職した経験がある302人のデータを紹介します。

本当は「会社都合」なのに「自己都合」へ

これまで経験した退職の種類を聞くと、ほぼ9割が「自己都合退職」の経験があると回答しています。

しかし、実際の退職理由を聞くと、「実際は会社都合だった」という人が2割もいます。

出典:Job総研

できれば「自己都合」にしたい会社の事情

このように、会社が「会社都合」ではなく、「自己都合」にしたがるのは理由があります。

「自己都合」は転職などのために自分から言い出す退職ですが、「会社都合」はリストラや倒産などによる解雇が中心です。

そのため、会社が公的な補助金が受ける際には、「過去6カ月間に会社都合の退職者がいないこと」などの条件があります。

つまり、会社としては、実際にはリストラであっても、「会社都合」の退職者を出したくないのです。

「自己都合」だと、すぐに失業手当がもらえない

退職を経験していても、失業保険の「失業給付金」(いわゆる失業手当)を受けた人は、4割に留まっています。

出典:Job総研

実は、失業給付金は、「会社都合」と「自己都合」では支給の条件が異なります。

「会社都合」では、失業から7日間の待機期間後に給付されます。

しかし、「自己都合」では7日間に加え、原則2カ月間の「給付制限」を過ぎないと受給が始まりません。

自己都合退職者の多くは、失業給付金の支給が始まる前に、次の職場で働き始めてしまうので、「失業給付金」を受け取っていないのです。

「会社都合」を「自己都合」にすり替えてはいけない

さらに、「自己都合」で辞めると、失業給付金の給付日数も短くなります。

「自己都合」の場合、1年以上勤務していたときの給付日数は、「90日から150日」となります。

「会社都合」の場合は、年齢や勤務期間によって異なりますが、最長で「330日」になります。

このように、「自己都合」と「会社都合」では、失業給付金の条件が大きく異なります。

もともと「自己都合」で退職する場合は仕方がありませんが、実際は「会社都合」で退職する場合は、会社側の誘導に負けて「自己都合」にしてはいけません。

必要な場合は、もよりの労働基準監督署などに相談してください。

[シニアガイド編集部]