本当は「会社都合」なのに「自己都合」で退職してはいけない理由
退職経験者へのアンケート
調査会社のJob総研が「自己都合退職の実態調査」の結果を公開しています。
2023年2月に行なわれたインターネット調査には、20代から50代の男女会社員が回答しています。
この記事では、会社を退職した経験がある302人のデータを紹介します。
本当は「会社都合」なのに「自己都合」へ
これまで経験した退職の種類を聞くと、ほぼ9割が「自己都合退職」の経験があると回答しています。
しかし、実際の退職理由を聞くと、「実際は会社都合だった」という人が2割もいます。
できれば「自己都合」にしたい会社の事情
このように、会社が「会社都合」ではなく、「自己都合」にしたがるのは理由があります。
「自己都合」は転職などのために自分から言い出す退職ですが、「会社都合」はリストラや倒産などによる解雇が中心です。
そのため、会社が公的な補助金が受ける際には、「過去6カ月間に会社都合の退職者がいないこと」などの条件があります。
つまり、会社としては、実際にはリストラであっても、「会社都合」の退職者を出したくないのです。
「自己都合」だと、すぐに失業手当がもらえない
退職を経験していても、失業保険の「失業給付金」(いわゆる失業手当)を受けた人は、4割に留まっています。
実は、失業給付金は、「会社都合」と「自己都合」では支給の条件が異なります。
「会社都合」では、失業から7日間の待機期間後に給付されます。
しかし、「自己都合」では7日間に加え、原則2カ月間の「給付制限」を過ぎないと受給が始まりません。
自己都合退職者の多くは、失業給付金の支給が始まる前に、次の職場で働き始めてしまうので、「失業給付金」を受け取っていないのです。
「会社都合」を「自己都合」にすり替えてはいけない
さらに、「自己都合」で辞めると、失業給付金の給付日数も短くなります。
「自己都合」の場合、1年以上勤務していたときの給付日数は、「90日から150日」となります。
「会社都合」の場合は、年齢や勤務期間によって異なりますが、最長で「330日」になります。
このように、「自己都合」と「会社都合」では、失業給付金の条件が大きく異なります。
もともと「自己都合」で退職する場合は仕方がありませんが、実際は「会社都合」で退職する場合は、会社側の誘導に負けて「自己都合」にしてはいけません。
必要な場合は、もよりの労働基準監督署などに相談してください。