65歳以上の高齢者世帯の平均年収は「318万円」。平均貯蓄額は「1,603万円」
「高齢者世帯」の金銭状況を知る
家族の全員が65歳以上、または18歳未満の未婚の子供だけで構成されている世帯を「高齢者世帯」と言います。
つまり、高齢者同士の夫婦で暮らしている人や、一人暮らしの高齢者が中心です。
この「高齢者世帯」は、どれぐらい収入や貯金があるのでしょうか、また、その収入の何割ぐらいが年金なのでしょう。
2022年に行なわれた、国の調査結果をもとに紹介します。
平均年収は「318万円」
「高齢者世帯」の1年間の収入(所得)の平均は「318万3千円」でした。
すべての世帯の平均が「545万7千円」ですから、それに比べるとかなり少ないことが分かります。
月額に直すと、「26万5千円」ぐらいです。
収入の3分の2は「年金」
高齢者世帯の年収である「318万3千円」の内訳を見てみましょう。
一番多いのは「年金」で、「199万9千円」でした。
つまり、収入の3分の2は、「年金」が占めています。
次に多いのが「稼働所得」、つまり働いて得た給与で「80万3千円」です。
三番目が利息などの「財産所得」で、「17万2千円」でした。
これ以外に、「仕送り」や「企業年金」などの収入が「19万円」あります。
半分以上の世帯は「年金」以外の収入がある
高齢者世帯の場合、「年金」が収入の柱となっています。
もう少し詳しくみると、半分以上の人は「年金」以外になんらかの収入を得ています。
つまり、年金が支給される年齢であっても、「公的な年金」だけで暮らしている人は半分もいないのです。
「貯金」や「財産による収入」があるか、働き続けるなどの方法で、公的年金以外の収入を確保しておくことが大切なのです。
貯金の平均は「1,603万円」
高齢者世帯の平均貯蓄額、つまり貯金の金額は「1,603万9千円」でした。
しかし、すべての人が余裕のある貯金ができているわけではありません。
高齢者世帯のうち「貯金が有る」のは8割だけで、「貯金が無い」世帯もあります。
貯金の金額を見ると、一番多いのが「3,000万円以上」でした。
次に多いのが「1,000万円~1,500万円」で、その次が「2,000万円~3,000万円」です。
このように、裕福な世帯が平均を押し上げていますが、実は4割の世帯は「1,000万円未満」に留まっています。
平均金額の大きさに恐れることなく、自分のできる範囲で貯金を育ててください。
なお、高齢者世帯において、住宅ローンなどを含む「借金がある」世帯は6.8%しかありません。
貯金も大切ですが、借金が無い状態にすることが前提になります。
半分近い世帯は「生活が苦しい」と感じている
最後に、高齢者世帯の人は、生活をどのように感じているのでしょうか。
生活について「大変苦しい」または「苦しい」と回答している人は「48.3%」でした。
つまり、高齢者世帯の半分は、生活が苦しいと感じています。
「普通」が「45.1%」で、「ゆとりがある」または「大変ゆとりがある」という人は「6.6%」しかいません。
なお、生活に関する意識は、全世帯の平均と極端な差はありません。
ひとくくりにできない「高齢者世帯」
高齢者世帯の特徴をまとめると、次のようになります。
- 平均年収は「318万円」
- 収入は「年金」頼りだが、半分以上の世帯は「年金」以外の収入がある
- 貯金の平均は「1,603万円」だが、貯金が無い世帯もある
- 半分近い世帯は「生活が苦しい」と感じている
いずれの項目も、余裕のある世帯と、そうではない世帯との差が大きく、平均値では語れません。
それぞれの世帯ごとに金銭的な状況は異なっており、抱えている問題や必要としている情報も異なるのです。
自分の将来の生活を考えるときも、「高齢者世帯だから」という言葉に惑わされず、自分自身の状況をもとにして方針を決めることをおすすめします。