ようやく新型コロナの影響を抜け出した「旅行業界」。課題は「海外旅行」と「インバウンド」
コロナ禍で訪日客がいない時期が続く
新型コロナウイルス感染症によって、大きな影響を受けた業界の1つが「旅行業界」です。
まず、2020年3月に中国と韓国からの新規入国者を制限する“水際対策”が開始されました。
さらに、4月には入国拒否地域が拡大され、国内でも第1回の「緊急事態宣言」が発令されました。
これ以降は、日本を訪れる外国人(訪日客、いわゆるインバウンド)がほとんどいなくなりました。
下のグラフの青い棒を見ると、いきなり無くなっているのが分かります。
2020年7月に「GoToトラベル事業」で回復の兆しが見えましたが、12月には中止されてしまいます。
そして、2021年は、旅行の需要がほとんど無い状態が続きます。
ようやく、2022年に入ってから、世界的に旅行客の“水際対策”が緩和されました。
日本でも、外国人の個人旅行の受け入れが再開され、需要が回復し始めたのです。
さらに、新型コロナが5類へ移行した2023年5月から、本格的な回復期に入ったと言えるでしょう。
長かった新型コロナ禍を抜けて、ようやく旅行業界もコロナ前の状態に戻りつつあるのです。
国内旅行は順調に回復。課題は海外旅行とインバウンド
最後に、売上の面から、旅行業界の回復状況を見てみましょう。
コロナ前の2019年には、旅行業者が取り扱った金額は「4兆5,695億円」でした。
しかし、2020年には、1兆円を切り「9,922億円」まで下がってしまいます。
日本人の「海外旅行」と、訪日客の「外国人旅行」が、ともに9割以上も無くなりました。
国内旅行も6割以上減り、全体では78.3%も売上が減少してしまったのです。
この時期は、旅行代理店の相次ぐ閉鎖がニュースとなったものです。
しかし、ワクチン接種が進んだ2021年は「1兆4,574億円」に回復しました。
さらに、2022年には、ほぼ倍の「2兆9,102億円」まで伸びたのです。
まだ、コロナ前の売上には届いていませんが、回復の勢いが感じられます。
特に「国内旅行」の回復はめざましいので、今後は「海外旅行」と「外国人旅行」の回復が課題となるでしょう。