通夜や葬儀で故人とお別れするときに、棺(ひつぎ)に近づき過ぎて二酸化炭素中毒で死亡する事故が発生

[2023/9/26 00:00]
事故のイメージ 出典:消費者庁/国民生活センター

遺体を保冷するドライアイスによる事故

通夜や葬儀において、故人が入っている棺(ひつぎ)に顔を近づけ過ぎて死亡する危険性が警告されています。

消費者庁によれば、同様の事故が複数報告されています。

  • 事例1:葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶の小窓を開けたそばで、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。
  • 事例2:自宅において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、死亡が確認された。

いずれも、遺体を保冷するために棺に入れられていたドライアイスが溶けて、棺の中の二酸化炭素濃度が高くなり、中毒を起こしたと見られています。

二酸化炭素は、通常の空気にも0.03%含まれていますが、濃度が30%を超えると「ほとんど即時に意識消失」し死亡する確率が高くなります。

棺に入れて20分ほどで危険な状態に

今回の報告を受けて、国民生活センターが、棺の中の二酸化炭素濃度を計測しています。

棺内にドライアイスを設置し、蓋を閉めた状態で棺内の濃度を調べました。

二酸化炭素濃度は、テスト開始20分後には30%を超え、4時間後には90%前後でほぼ一定となりました。

さらに、酸素の濃度も、通常の21%から低下し、1時間後には「意識を消失する」とされる10%まで低下しました。

二酸化炭素と酸素の濃度が変わったことで、死亡事故につながったのです。

出典:消費者庁/国民生活センター

なお、棺のふたを開けても、二酸化炭素の濃度は急には下がりません。

ふたを開けてから50分経っても、二酸化炭素の濃度は30%を維持していました。

つまり、棺のふたを開けても1時間ぐらいは危険な状態が続いているのです。

出典:消費者庁/国民生活センター

一人でそばに居るときは、棺に近づきすぎない

国民生活センターでは、次のように警告をしています。

  • お別れのために話かける場合でも、棺からは少し距離を取ってください。
  • 棺にドライアイスが入っているときは、できるだけ二人以上で付きそうようにしてください。

故人とお別れを惜しむ気持ちのあまり、棺の中には近づきすぎないようにご注意ください。

[シニアガイド編集部]