まだ油断できない透析患者の新型コロナ感染。5類移行後も高い死亡率
人工透析の学会が警告
慢性腎臓病などで、人工透析が必要になっている人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすく、死亡率も一般人よりも高くなっています。
公益社団法人 日本透析医会の調査によれば、新型コロナの扱いが5類になってからも、この状況は変わっていません。
日本透析医会のデータをもとに、透析患者に対する新型コロナの危険性を紹介します。
1つの施設で4人以上の患者が発生
日本透析医会では、新型コロナの扱いが5類になった2023年5月25日以降も、透析患者の調査を続けてきました。
5月25日から9月12日の間に、全国の61の施設において新型コロナに感染した患者は「257人」でした。
1つの施設当たりで「4.2人」の感染者が発生しています。
これは、第7波や第8波の流行のときと、ほぼ同じ水準です。
重症化率は14%と高い
患者のうち、データの分かっている229人について、酸素飽和度を調べています。
重症化リスクが高いとされる「酸素飽和度が94%未満」の割合は14.0%でした。
現在流行しているオミクロン株XBB系統は重症化しにくいとされていますが、透析患者の場合は高い確率で重症になることが分かります。
死者の9割は「70歳以上」
新型コロナの患者257人のうち、死亡に至ったのは「6人」でした。
全体の死亡率は「2.3%」でした。
第7波の死亡率が「2.2%」、第8波の死亡率が「2.9%」ですから、透析患者の死亡率は5類になってからも変わっていないことが分かります。
また、死亡した人のほとんどが「70歳以上」です。
年齢別の死亡率は、「70歳未満」が0.8%、「70歳以上」が3.8%でした。
「70歳未満」の死亡率が低く見えますが、一般の人の死亡率は0.1%です。
透析患者の死亡率は、一般人口と比較して非常に高く警戒が必要です。
まず、9月20日より開始されたXBB.1.5に対応したワクチンの接種をできるだけ早く行なってください。
そして、万が一、感染した場合には速やかな抗ウイルス薬の投与を受けてください。